登山日:2010年7月23-24日
「ニッコウキスゲで全面黄色の尾瀬ヶ原を狙ったが...」
2008年にはじめて尾瀬を訪れて、3年連続でここに来る事になった。 2008年は8月に燧ヶ岳、至仏山を2つの百名山を狙って 、2009年は5月にミズバショウを狙って、そして今年2010年はニッコウキスゲを狙ったものだった。 天気は梅雨明け1週間後と最も安定した時期、ニッコウキスゲのタイミングもほぼ合っているハズ。後は全面黄色の尾瀬ヶ原を見るだけだった。果たして目的が果たせたかは本文を見て欲しい。 今回、M氏とF氏夫妻、なまけものハイカーの5人の山行きだったが、M氏は前日夜行で大清水に入り、燧ヶ岳を登って見晴十字路の弥四郎小屋で合流する計画だった。 |
至仏山とニッコウキスゲの尾瀬ヶ原 |
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行程
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前日別働のM氏はバスで大清水に向かう。携帯mailが頻繁に入ってくる。今回、mailを駆使してお互いの位置を確認する予定だった。だが、この作戦は我々が家を出る前に挫折する。M氏の携帯、大清水より先は圏外になっていた。 なまけものハイカーは7:00過ぎにF氏夫妻に自宅の宮崎台でピックアップしてもらい、練馬インターから沼田経由尾瀬に向かう。M氏にmailするが、返信はなかった。 |
尾瀬戸倉に11:00着。バスで鳩待峠に入ったのは11:30だった。 鳩待峠で昼食を摂り、12:10に出発。山の鼻を目指す。木道を下りていくと、やがて道脇にミズバショウが見られるようになる。ただし、春とは様子がまるで違う。ロメインレタスを数倍大きくしたような葉がビッシリ。実は水芭蕉の語源はこの葉にある。バショウの葉に似ていることからこの名が付いた。 |
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山の鼻からは尾瀬ヶ原。燧ヶ岳を真正面に見ながらの木道歩き。現在の尾瀬の木道はほぼ完璧で、湿原に靴を沈ませるような所はない。昭和三十年代まで、この木道がほとんどなかったらしい。今見ると、この池塘だらけの尾瀬ヶ原を木道なしで渡っていた事は想像がつかない。 |
池塘にはヒツジグサが浮かんでいる。その絵はまるでモネの絵のよう。この花は未の刻(14:00)に咲くという。この池塘についたのは14:00ちょうど。一分前の絵が撮りたかった。 |
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木道を歩き続けるが、肝心のニッコウキスゲはほとんど見られない。 牛首を過ぎて20分ほどして黄色い点々がある野原が見えてきた。待ちかねた群落。実は尾瀬ヶ原で見た群落らしい群落はここにしかなかった。 後で聞いた話だが、今年は霜にやられてニッコウキスゲの大群落はほとんどみられないとか。残念ながら今年はハズレの年だったらしい。 |
この場所は去年ミズバショウの写真を思いっきり撮ったところ。多くの尾瀬のポスターはここから至仏山を撮った物だった。結局尾瀬の最高スポットは季節に関係なくこのポイントなのかもしれない。牛首と竜宮の中間地点。左に木道が分岐しているところ。ここを見ずに竜宮に向かわないようにみなさん気をつけましょう。 ニッコウキスゲの群落は一番上の写真を見て欲しい。でも良く見ると遠くに黄色の点々はない。絵をうまく切り取ってニッコウキスゲの大群落を演出した写真である。 |
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竜宮を過ぎ、今日の泊まり弥四郎小屋に着いたのは15:45だった。 ここでちょっとトラブル。別働のM氏とは大清水を出た後、連絡が取れなくなっていた。こちらも鳩待峠を下りて山の鼻では携帯は圏外だった。 M氏の計画は大清水-三平峠-長英新道-燧ヶ岳-弥四郎小屋というもので、計算では、昼過ぎには小屋に着いていると思っていた。ところが、我々が着いた時点では、M氏は小屋に着いておらず、一瞬冷や汗が流れた。 結局、宿泊手続きをしている最中にM氏到着。聞くと足が攣って、燧ヶ岳山頂を前に長英新道を引き返したようだった。 何はともあれ、無事を祝って宴会。麓から背負ってきた2Lのビール樽を流水で冷やし、行きしなの「尾瀬市場」で買ったキュウリ/トマトをあてに飲む。これがあるから尾瀬の小屋泊まりは止められない。 |
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翌日は弥四郎小屋から行き来た道を山の鼻まで戻り、至仏山に登ることにする。 朝食は5:30から。6:15に宿を出る。 |
尾瀬の朝は靄に包まれる。日が上がるにつれ、靄が晴れてくる。遠く至仏山は山頂から見えるようになる。宿を出るときにはほぼ麓まで見えるようになった。 |
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ニッコウキスゲで黄色い尾瀬はあまり見られなかったが、黄色い尾瀬は見られた。キンコウカが野を染めていた。 |
今日は風がないようだ池塘の水面は鏡のように至仏山を写していた。 |
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山の鼻から少し行くと登山口。ここから急登になる。2年前に登った時は、道が小川のようになっていたが今日は水はない。それでも道は急登。岩は蛇紋岩でいかにも滑りやすそう。 登るにつれ、携帯電話が繋がるようになる。前日発信のmailが次々と到着しだした。結局、当初予定していたmailで連絡を取り合う作戦は全くうまくいかなかった。 五合目過ぎくらいで、今回2度目のトラブル。なまけものハイカーかみさんが太ももを攣ってしまった。 今年の夏は急に暑くなったため熱中症が多いと聞く。後でわかったことだが、攣るのは熱中症の一歩手前の症状とか。今日は天気は最高だが、日光も遠慮なく降り注いでくる。 ここから下りることも考えたが、既に半分以上登ってしまっている。ここから下りても山の鼻から鳩待峠までの登りが待っている。覚悟を決めて山頂まで登ることにする。 30分ほど休み、太ももの筋肉をほぐして前に進む。 進むにつれ、眼下に尾瀬ヶ原が見えてくる。その向こうには燧ヶ岳。 足元には多数の高山植物。タカネバラ、タカネナデシコ、イブキジャコウソウ、ヨツバシオガマ、ジョウシュウアズマギク。ウスユキソウの仲間はミネウスユキソウとホソバヒナウスユキソウが見られた。 |
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山頂に着いたのは山の鼻から4時間半後だった。通常3時間のルートを1.5倍かかった計算になる。攣っただけが遅くなった理由でない。あまりに見事な眼下の絵と足下の花が我々の歩きを鈍らせてしまった。 |
40分ほど山頂に滞在の後、下りに着く。しばらくは岩だらけの尾根道。岩はみるからに滑りやすそう。左上の写真はみんなが踏んでツルツルになった岩。 1時間強で小至仏。コースタイムでは35分になっていたが、とてもそんな時間で行けるルートではない。 |
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小至仏からの下りは少し今までと違う高山植物が見られるようになった。チングルマ、ハクサンフウロ、ハクサンチドリ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ。 笠ヶ岳からの分岐の後、ワタスゲに覆われた湿原に出会う。 湿原からの下り5分で水場。この時点で同行者みんな、ほとんど手持ちの水がなくなっていた。周りのハイカーもほぼ同じ状態のようで、皆、わずかの水に列を成し目一杯水分補給する。 |
水場からは木の階段の下り。一時間半で鳩待峠に着く。 鳩待峠からシャトルバスで尾瀬片倉。 帰りの温泉は片倉のバス停の横にある「尾瀬ぷらり館」を選んだ。東京電力が経営する尾瀬の展示館にある小さな日帰り温泉。商売っ気がなく、空いているので、結構穴場かも。入った当初は数人の客がいたが、上がる時には、男女とも我々のグループの貸切になった。 「尾瀬市場」で野菜を買い、沼田で夕食を摂って、帰路につく。 |