燕岳タイトル  2763m  二百名山 
大天井岳タイトル  2922m  二百名山 
常念岳タイトル  2857m  百名山 

登山日:2006年8月13日-8月15日

5年ぶりにテントを担いで山に入った。家でザックの重量を量ると17kgになっていた。これに水と1日目の朝昼食が入るので実際に担ぐのは20kgになる。どうも何でも持って行きたくなり、ついつい荷物が多くなる。はたして、この重量を担いで縦走できる体力がまだあるだろうか?「なまけものハイカー」カミさんにも10kg近く担がせている。こちらも大丈夫だろうか?不安いっぱいの出発だった。
行くのは北アルプスの表銀座。縦走の入門コースとして知られている。ずうっと槍穂を眺めながら歩くコースになる。
常念岳山頂から燕/大天井方面
常念岳山頂から見た大天井/燕方面
正面に立山/剣岳まで見えている。
クルマユリ イワギキョウとタカネツメクサコマクサ
ミヤマキンポウゲ 燕山荘朝の燕岳 エゾシオガマオオレイジンソウ ハクサンフウロモミジカラマツ
ハクサンボウフウテガタチドリ 中房温泉登山口
大下りの頭から見た大天井/槍
ミヤマアキノキリンソウ
チングルマチングルマと稜線
ハト(?)撤収作業中 シモツケソウ オオバミゾホオズキ
常念岳からの下り
常念岳から見た大天井/燕方面常念岳から見たパノラマ
崩れ落ちた林道
行程

1日目
中房温泉 6:45
合戦小屋着 10:40
合戦小屋発 11:30
燕山荘着 12:50
燕山荘発 13:40
燕岳着 14:05
燕岳発 14:45
燕山荘着 14:15
2日目
燕山荘発 6:20
大下りの頭着 7:20
大下りの頭発 7:40
大天荘着 10:30
大天荘発 11:20
大天井岳着 11:30
大天井岳発 11:40
大天荘着 11:50
大天荘発 12:10
東天井岳の脇着 13:00
東天井岳の脇発 13:20
常念小屋着 14:45
3日目
常念小屋発 5:05
常念岳山頂着 6:30
常念岳山頂発 7:25
常念小屋着 8:30
常念小屋発 9:50
笠原着 11:45
笠原発 12:30
一の沢登山口着 14:45
一の沢登山口発 14:55
常念いこいの広場 16:10

難易度 ★★★★
行程時間(含む休憩) 1日目:6時間40分
2日目:8時間25分
3日目:9時間45分
駐車スペース しゃくなげ荘
中房温泉/常念いこいの広場
トイレ 各山小屋、
中房温泉、一ノ沢登山口
登山口 わかり易い
水場 合戦尾根の第1ベンチ。以降は山小屋で購入することになる。合戦小屋/燕山荘/大天荘は1L200円。常念小屋は1L100円。
帰りの温泉 穂高温泉
お勧め度 ★★★★★


イワギキョウとタカネツメクサ
イワギキョウとタカネツメクサ
岩場でこの2つの花の組み合わせを良く見る

朝の燕岳
朝の燕岳。花崗岩質の山で、鳳凰山に似ている。

チングルマと稜線
チングルマと稜線

常念岳から常念小屋への下り
常念岳から常念小屋への下り。転げ落ちそうな急坂

撤収作業中
撤収作業中。テント場で最後になってしまった。
バックに槍の穂先が見える。

崩れ落ちた林道の橋
林道の崩落箇所の一つ。これでは当面、復旧は無理か?
当初、8月11日に夜行で穂高駅まで行き、山に入る予定だった。ところが、狙っていた夜行バス「さわやか信州号」も夜行快速列車「ムーンライト信州号」も予約でいっぱい。1日前でも取れると油断していたのが間違いだった。やむなく、12日の早朝、車で出発。穂高温泉に泊まることにした。予約は入れていないが、現地の観光案内所で探すことにする。予約なしで現地で宿を調達するのは、選り好みさえしなければ、リスクは少ない。宿は安曇野市営「しゃくなげ荘」になった。建物は新しくないが、温泉は掛け流し、掃除は行き届いており、食事も悪くなかった。従業員の対応が不慣れであったが、それが逆に素朴な田舎の宿の印象を残し、悪くはなかった。

<1日目>
翌早朝5:15、乗合いタクシーでしやくなげ荘から中房温泉に向かう。タクシーと言いながら定時運行をし、車両はバス。バス停ならぬタクシー停がしゃくなげ荘前にあり、穂高駅から来たタクシー(?)に10人ほど乗り込んだ。6:00に中房温泉着。朝食を採り、6:45に登り始める。

     中房温泉登山口の様子
         中房温泉の登山口。とにかく人が多い。

ここから燕山荘までは、北アルプス三大急登の一つ(標高差1260m)に数えられている。でもこのコースは第1ベンチ/第2ベンチ/第3ベンチ/富士見ベンチ/合戦小屋とちょうど休みたい間隔で休憩ポイントが設けてあり、それほど苦になる登りでない。
それにしてもハイカーの多いコースである。各休憩ポイントには数十人が休みを入れている。歩けば人の尻を見ながら登らなくてはならない。
各休憩ポイントで10分ほどの休みを入れて4時間で合戦小屋に着く。合戦小屋にはスイカを売っていた。小屋の売店の人に聞いてみる。「スイカここで作っているんですか?」「ええ、この裏で...」 もちろんウソ。中房温泉-合戦小屋間には荷揚げ用のケーブルがあるため、合戦小屋/燕山荘は物資が豊富なのだろう。
ここからはやや登りが緩やかになる。道は明るくなり、高山植物が増えてくる。ウサギギク、モミジカラマツハクサンフウロハクサンボウフウオオレイジンソウテガタチドリエゾシオガマ。 そしてチングルマは既に実になっていた。
1時間20分で燕山荘に到着。燕山荘は実に大きな山荘である。600名収容可能で診療所もある。下界のホテル並である。残念な事に今回はテント泊、そしてテント場はそれほど広くなかった。「なまけものハイカー」が着いた時にはほとんど埋まっており、仕方なくトイレの前にテントを張る。
張り終わって荷物を放り込むと直ぐに燕岳に向かった。花崗岩質の白い道を歩く。南アルプスの鳳凰山周辺に似ている。コマクサが白い砂の斜面に咲いている。30分ほどで山頂に着く。山頂は狭く4畳半ほどしかない。山頂の標識は花崗岩を彫って作った小さな物だった。展望は360度。これは森林限界を越えた山では当たり前か。天気は良くなかったが、裏銀座の山くらいまでは見えた。40分ほど佇みテント場に戻る。
今日の夕食はカレー。

     燕山荘
           燕山荘。とにかく大きな山小屋だ。

<2日目>
「なまけものハイカーカミさん」は3:00起床。暗いテントの中で化粧を始めた。「なまけものハイカー」は4:00に起きて身支度を整える。朝食を採り撤収が終わったのは6:20。久しぶりのテント撤収に時間がかかってしまった。夏山の朝の天気は必ずと言ってよいほど良い。きれいな青空だ。雲海が眼下に広がる。昨日は良く見えなかった槍ヶ岳がはっきり見える。問題はいつまでこの天気がもつかだ。
槍ヶ岳を見ながら、南に歩を進める。1日目より人は減ったが、それでも人が多い。初心者も目立つ。いつもは追い越されるだけの存在の我々が「お先に失礼します」と言いながら先に進む事が多い。
大下りの頭で休憩。みんながここで休みを入れている。ここから200m近い一気の下り。直ぐに登り返す道が見えている。みんな躊躇しているようだ。「ああ、次のピークまで橋が架かっていればなあ...」 いつも思うことである。

    大下りの頭から見た大天井と槍
       大下りの頭から見た大天井岳と槍ヶ岳。
       この辺りまでは天気が良かった。

大天荘の手前で、天気が悪くなる。雨は降っていないが、視界は数百mくらいだろう。大天井岳を巻くように登る道だが結構きつい上りである。
大天荘から大天井岳まで片道10分のピストン。ここまで実になったチングルマ、花を落としたミヤマダイコンソウしか見ることができなかったが、ここだけはどちらも立派に花が残っている。ちょっぴり季節が遅れている。大天井岳は視界が利かず記念写真だけとってそそくさと降りてくる。
大天荘から常念小屋までは緩やかなアップダウンの道が続く。歩きやすい道で何の危険も感じられない。人はだいぶ減ってきた。大天小屋の手前の分岐から槍ヶ岳方面に向かった人が多いのだろう。15:00前に常念小屋に着いた。
常念小屋は300名収容可能な大型の山小屋だが、宿泊者も多く大変混み合っている。テント場は2箇所あり燕山荘のテント場より広い。若干の余裕がある。
「なまけものハイカーカミさん」の調子が良くない。スパゲティを作ったがろくに食べられない。軽い高山病にかかったのか? 今までの経験から蜂蜜入りレモンティを飲ませる。これは結構高山病に効く。早めに寝ることにする。19:00就寝。

<3日目>
軽い朝食を済ませ、日の出直後の5:05にテントを後にして、常念岳山頂に向かう。「なまけものハイカーカミさん」も、体調が戻ったようだ。標高差400mを一気に登る急登。うっかりすると転がって落ちてしまいそうだ。ご来光を拝んだ人たちが降りてくる。「山頂は素晴らしい景色ですよ」 普段は黙っていそうな人もみな興奮気味に言って、すれ違っていく。どんな景色が見られるのだろうか? 胸がときめく。
山頂は狭いが本当に素晴らしい眺めだった。360度いや、400度の展望と言ってよいだろう。目の前の穂高/槍はもちろん、中央アルプスは南のはずれの恵那山まで。北に目を向けると立山、剣。東は浅間山。そして南アルプス全山と八ヶ岳の間に富士山が顔を出す。百名山30座程度が軽く見渡せる。上高地も見下ろせる。山に登ったことのない人は一度でいい、ここまで登ってみて欲しい。誰もがきっと病み付きになるに違いない。
1時間ほど景色を楽しんで、常念小屋まで降りる。すれ違う人の多くが「山頂までどのくらい?」と聞く。この質問をされた時のために山頂を何時に出たかを覚えておくと便利だ。「我々が山頂を何分前に出ましたから、登りならあと何分くらいで着きますよ。」明快な回答が直ぐできる。
テント場まで降りて撤収作業。昼食用にアルファ米を戻す。最近のアルファ米は味は良くなったが、出来上がるまでには時間がかかる。昼食分は移動前に戻しておけば直ぐに食べられ効率が良い。撤収が終わって周りを見ると我々が最後だった。誰もいないテント場に2羽の鳥が残飯を探して歩いていく。全く飛ばないので雷鳥のようだが、どう見ても鳩。こんなところにも鳩がいるのか? でも、最近のハイカーは礼儀が良い。テント場には何も残っていなかった。鳩(?)は空しく、数分でハイマツの中に消えていった。

     ハト(?)
              残飯を狙うテント場のハト(?)

常念小屋から東に降りるには2つのルートがある。一つは直接一ノ沢へ下りるコース。もう一つは常念岳、前常念岳を経て三俣に下りるコース。前者が7月の大雨で林道が崩れ、タクシーが入れないで、5kmほど余計に林道を歩かなくてはいけないと言う情報があった。そこで後者のコースを下りるつもりでいた。ところが小屋の人に聞くと、後者のコースも道が崩れ林道を8kmも歩かなくてはいけないらしい。仕方なく前者のコースで山を下る。
9:50に常念小屋を後にし、30分ほどで沢沿いの道になる。高巻きがあり、油断すると危なそう。適当な間隔で水場があり休むのにちょうどよい。昼食休憩も含めて4時間で一ノ沢登山口に着く。本来ならここまでタクシーが入れるはずだが、林道が崩れて車が入れない。アスファルトの道を1時間15分ほど歩く。崩れている箇所は大小5箇所あり、そのうち1箇所は橋を掛けなおす必要がある。生活道路なら何が何でも復旧させるだろうが、この林道を利用するのはハイカーのみ。これでは当面復旧は期待できそうもない。
タクシーが数台止まっており、予約の入っていない車に乗ってしゃくなげ荘に戻る。温泉で山の垢を流し、都会へマイカーを飛ばした。

常念山頂からのパノラマ
常念岳山頂から西側を見た絵。北アルプスの主な山がほとんど見える。