行程
雨に濡れたチングルマ 十勝岳温泉、凌雲閣。温泉は素晴らしい |
前日、テレビでは遅くなるほど天気が悪くなると報じていた。そこで、少し早めの5:00に宿を出た。静かな朝の田園を車で飛ばす。上富良野から20分ほどで十勝岳温泉に着く。ここには登山者用の大きな駐車場があり、楽に30台は停められる。きれいなトイレもある。 浅いU字谷の底の林道を進む 6:20に登山開始。きれいな浅いU字谷の底を歩いていく。安政火口分岐から斜めにトラバースするように道が進む。途中、上富良野岳分岐点で十勝岳方面から下りてきた人たちに出会う。稜線はものすごい強風で危険だそうだ。「あきらめるのも勇気ですよ。」 この言葉で、前を行っていた5人ほどの団体が、引き返すことを決意した。「なまけものハイカー」は、取り敢えず稜線まで行くことにする。幸い、このコースは稜線に合流するまでが長い。決断も先送りできる。わざわざ東京から来てここで諦めるなんて...。そんな勇気はなかった。 その後も、すれ違う人が異口同音に「稜線はすごい風ですよ」と言ってくれる。でも、ここは山の斜面。風はほとんど吹いていないので、強いと言われても実感がわかない。 いくつかの谷を斜めに横切る。どの谷も雪が残っている。中には雪渓が半分崩れかけ、下に小川が見えるところもあり、少々怖い。 いつの間にか雨も降ってきた。 雪渓を渡る 稜線に出る5m手前まで、実感はなかったのに、稜線に出ると猛烈な風が吹いていた。吹き飛ばされるようなレベルではないが、歩行には難渋しそうだ。幸い、登山道は安全そうな道が続いている。ここまでくれば30分と、覚悟を決めて山頂に向かう。 道の両脇は、延々とお花畑が続いている。果たしてこれだけ大規模なお花畑を、どれだけ見たことがあるだろうか?ハクサンイチゲ、エゾノツガザクラ、エゾコザクラ。チングルマは雨に濡れてかわいそう。百名山には漏れているが、「花の百名山」に挙がるだけの事はある。 じっくり見て行きたいが、それどころではない。山頂に辿りついた証拠の写真を撮って、さっさと帰路に着く。 稜線からの分岐まで戻ってほっと一息。時間はまだ10:30。ゆっくり、写真を撮りながら、十勝温泉へ戻る。ウラジロナナカマド、ウコンウツギ、イソツツジ、ミツバオウレン、エゾイチゲ、サンカヨウ。稜線の花とは違う。 いつの間にか雨も上がった。 帰りは十勝岳温泉で汗を流す。ここの温泉は、2種類の泉質があり、全く違う湯を楽しめる。一つは茶色の泥のような湯。もう一つは透明でややぬるい。2つの泉質が無造作に混ざり合っている湯船もある。露天風呂からは雄大な山岳を楽しめる。もちろん掛け流しである。盆栽のような白々しい庭しか眺められない露天風呂とは訳が違う。 この近くには、脱衣所もない、水着OK、混浴、無料の吹上露天風呂もある。ただし、ここは若干湯が熱かった。その近くの吹上温泉も悪くはなかった。 今考えても、十勝岳から富良野岳に変更したのは正解だった。風の強い中、比較的安全な山行きを楽しめた。天気が悪かったので、花を楽しめるコースを歩けたのも良かった。 |