利尻山タイトル  1721m  百名山 登山日:2006年7月2日

「利尻山」と言うのが正しい名称であるが、この山こそ「利尻富士」と後ろに富士の名をつけるのがふさわしい山は少ないだろう。均整の取れた山の形、左右に伸びた美しい稜線。周囲を圧倒する独立峰。南海に浮かび、いくつもの2000m級の山が林立する屋久島を洋上アルプスと表現するが、北海のこちらは洋上富士と言ってよいだろう。
海から突き出たこの山の姿だけでも「富士」の名に相応しいが、北海道本土のサロベツ原野あたりから見たこの山には、もっと感激を覚える。まっ平らな地平線に美しい稜線が突然現れた驚きは忘れられない。まるで蜃気楼が作った幻の山のように見える。
通常、南北アルプスなどの主な山の登山口から山頂までの標高差は1400〜1700mになる。広河原-北岳(1672m)、上高地-穂高岳(1685m)、河口湖五合目-富士山頂(1472m)、美濃戸口-赤岳(1419m)、猿倉-白馬岳(1702m)。利尻山は標高1721mながら、登山口も220mと低いため、これらの山とほとんど同等の標高差の山になる。しかも、避難小屋はあるが、日帰り登山が原則の山でもあるので、これらの山を登るより厳しい。

利尻空港から見た利尻富士
利尻空港から見た利尻富士。あまりにも美しい景色を
目の前にして誰も滑走路から離れようとしない。
飛行場から見た利尻富士
ゴゼンタチバナ
ウコンウツギコケモモ 長官山から見た利尻富士
ミヤマアズマギクリシリヒナゲシ
簡易トイレ
ボタンキンバイハクサンイチゲ 北峰から見た南峰黄色い花の群落 山頂から見た礼文島
行程
利尻北麓野営場 4:20
甘露泉水 4:30
第1展望台(六合目)着 6:20
第1展望台(六合目)発 6:30
長官山(八合目)着 8:20
長官山(八合目)発 8:25
九合目 9:25
利尻富士山頂着 10:40
利尻富士山頂発 11:30
九合目着 12:35
九合目発 12:50
長官山(八合目)着 13:30
長官山(八合目)発 13:55
第1展望台(六合目)着 15:10
第1展望台(六合目)発 15:15
甘露泉水 16:40
利尻北麓野営場 17:00

難易度 ★★★★
行程時間(含む休憩) 12時間40分
駐車スペース 利尻北麓野営場
トイレ 簡易トイレが九合目/非難小屋(八合目の上)/六合目
登山口 わかり易い
水場 甘露泉水のみ
帰りの温泉 利尻富士温泉
お勧め度 ★★★★★


山頂から見た礼文
    利尻富士山頂から見た礼文島。
    あまり利尻と大きさの変わらない礼文が小島のように見える。

黄色い花の群落
遠くに見える黄色い花の群落はボタンキンバイか?

簡易トイレ
九合目の簡易トイレ

7月1日に利尻島に入り、島の北部を走るサイクリングコースでサイクリングを楽しむ。コースは、自転車用に緩やかな坂道を切ってあるが、標高差は100m以上あり、素人の私には結構しんどい。でも、海と森と山を楽しめる最高のコースではないかと思う。
宿泊は利尻富士町のペンション「花りしり」に取る。部屋は決して広くないが、きれいに片付けられており不満はない。食事はホテルほど豪華でないが、地の物を味わってもらおうという宿の気持ちが伝わってくる献立で、十分満足できる。
翌日、4:00過ぎに宿から登山口まで車で送ってもらう。上の地図を見ると、たいした距離の山行きに見えないが、この地図の縮尺は20万分の一。相当の距離である。だからこのくらいに登り始めないと後が不安だ。こんな時間にでも送ってもらえるなんて、嬉しい限りだ
登山口から10分ほどで甘露泉水に着く。ここまでは、コンクリートで整備され観光者が普通の靴で来られるようになっている。ここの泉は名水100選にも選ばれている。美味しい。水場はここが最後。夏でもあり少し多めの一人2Lの水を確保する。
しばらくは森の中のなだらかな登り道が続く。今回は長期戦なので、登りは30分に一度5分の小休止、1時間に一度大休止を心がける。休みには絶えずエネルギー補給。時間はかかるが、スタミナ切れを考慮した慎重な策だ。
ちょっと坂が急になったかな?と思ったところが六合目だった。振り向くと、礼文島。その手前に利尻空港、右には鴛泊港が見える。このあたりから木が低くなり、ハイマツが目に付くようになる。六合目の標高は700m前後。本州の山なら2500m級の感覚か?

この辺りから、ゴゼンタチバナが目立つようになる。
八合目の長官山、眼前に利尻富士がせまる。残雪のアクセントが山の美しさを際立たせる。この辺りからさまざまな高山植物を見ることができるようになる。チシマフウロウコンウツギミヤマアズマギク、...。

    長官山から見た利尻富士
              長官山から見た利尻富士

避難小屋の左脇を過ぎ九合目に辿り着く。九合目の看板を見て、「もうすぐ山頂、思ったより楽な登山だったな」と思ったが、それが間違いであることはすぐわかる。ここからが正念場であった。道は左側通行で上りと下りに別れ、下りはロープが張られ、これなしで下りることはつらそう。上りは上りで慎重に歩を進めないと、ズルズルと滑り落ちてしまう火山礫の急登。後ろから来たベテランの方に「石を落としなさんな」とたしなめられる。ズルズル登りの坂を上りきったところが山頂であった。

山頂のあまり広くはないが、周辺はお花畑、そこかしこにハクサンイチゲの白い花が咲いている。遠くに見えた黄色い花の群落はこの島の特産ボタンキンバイか? 展望はもちろん360度。先程から見えている礼文島は遥か眼下に見下ろす存在となった。東に目を向けると北海道本島。はるか地平線に大雪山系らしき山並みが見える。南には通行禁止になっている南峰。

    北峰から南峰を見る
              北峰から南峰を見る。

しばし観望を楽しみ、下りの道に着く。九号目まではロープをつたっての下り。九合目には写真のような簡易トイレが設置してあった。中は便座しかなく、便器のかわりにネットになっている。麓のコンビニなどで売っている簡易トイレ用のビニール袋を敷いて用を足す。ビニール袋は麓まで持って帰るようになっている。往復12時間の行程、しかも八号目からは隠れて用を足すような場所もない。このアイデアは面白いかもしれない。
ここでようやく憧れのリシリヒナゲシを見つける。わずか2株しか見つからなかったのが残念。
ここからはいったいいつ終わるのだろうと考えてしまう長い長い下り。登山口に着いた時には5:00になっていた。2L用意した水はほぼ空になっている。
昨晩泊めていただいた「花りしり」の方に迎えに来てもらう。