タイトル  1588m  登山日:2007年5月20日

「シロヤシオを求めて」

高校生の頃、東京都日野市に住んでいた。そこから富士を見ると、まん前に富士と同じような形をした山が見えた。まるで富士の子分のようだった。
丹沢にありながら他の山と離れ少し独立したように見える山、大室山だった。この山に登る機会はなかなか訪れなかった。アプローチが長く、何処から行っても登山口に辿りつくまでが一苦労。登山口からも標高差1000mクラスの結構ハードな山になるからだ。
シロヤシオを見たかった。この花で有名な檜洞丸の隣の山、大室山なら当然見ることが出来るかも?実に楽観的な観測を元にこの時期に登ることにした。
この山へのアプローチは北の道志側からと、南の西丹沢自然の家側からと2つある。昨年、南側から檜洞丸に登った時、駐車場確保に苦労したので、今回は北からのアプローチを選んだ。
今回の山行きは失敗の連続だった。

<リンク>
青根緑の休暇村いやしの湯
雪頭ヶ岳より望む富士
うん十年前に住んでいた日野から見た富士と大室山
ちょうど富士のまん前に大室山が来る。
(カシミール3Dを使用して再現)
大室山山頂の様子
神ノ川林道のゲートから見た縦列駐車の様子
シロヤシオ待望のシロヤシオ
林道途中から見た大室山
犬越路
行程
神ノ川ヒュッテそばの駐車地点 8:35
神ノ川林道ゲート 8:55
犬越路隧道前 10:50
犬越路着 11:30
犬越路発 12:00
大室山着 13:45
大室山発 14:10
神ノ川ヒュッテ 16:05
駐車地点 16:15

難易度 ★★★★
行程時間(含む休憩) 7時間40分
駐車スペース 神ノ川ヒュッテに有料駐車場
林道ゲート付近に路駐多数
トイレ 神ノ川林道ゲート前
登山口 わかり難い
帰りの温泉
お勧め度 ★★★

   神ノ川キャンプ場先から見た大室山

朝6:30に家を出て、中央高速/相模湖ICに向かう。小仏トンネルを過ぎたところから大室山が見えてくる。結構目立つ山だ。相模湖ICから20号線を少し大月方面に進み、藤野から青根に抜ける県道を南に下る。奥相模湖を過ぎ、県道が413号線をまたいでもそのまま進むと神ノ川林道に入る。
この時点でとんでもない事に気がついた。登山靴を持ってくるのを忘れていたのだ。マイカー登山ではいつも登山口の駐車場で履き替える。その靴がないのだ。他にも、ストック、登山用ベスト、おやつのオレンジ、...よくもまあこんなに忘れたものだ。

   神ノ川林道のゲートから見た縦列駐車の様子

山に行くときは、いつも前日の晩、酔っ払った頭で、翌日の準備をする。だから忘れ物も多いが、致命傷になる忘れ物はさすがに少ない。でも今回の忘れ物はひどすぎた。幸い、今日はウォーキングシューズを履いて来ている。ストックは普段からあまり使わない。他はなくても事足りる。と言う訳で、少々無理があるが予定通り登ることにした。
神ノ川林道のゲートに着いたが、路上はビッシリ車が埋まっている。1kmほど戻って、脇に駐車ポイントを見つける。

   林道途中から見た大室山

身支度を整えて、神ノ川林道ゲートまで戻る。登山口を探すが、よくわからない。キャンプ場がありその左脇を入っていけば良かったのだが、道標がなくまごまごした。人に「犬越路まで行く登山口は?」と聞くと、「直答ルートもあるが、この林道を登り終点前で尾根道に抜ける道がありますよ。眺めが良いですよ。」と教えてくれた。今日は登山靴を履いていないので林道で高度を稼ぐ方が賢いかも?と判断。推薦どおり地図をろくに見ずに林道を歩くことにする。
歩き出してしばらくして、地図を見て愕然とする。距離にして楽に4倍は違う。林道ルートは大変な遠回りだった。まあ、確かに眺めは良い、ゲート奥なので車の心配もない。明るい林道は狙い通り緩やかに高度を稼いでくれた。

   犬越路


犬越路隧道の入口に着いたときには11:00近かった。トンネルの右脇の道を進むが、ここから急に道が悪くなる。おまけに尾根へ登る道を見落としてしまった。道標はあったが、どう見ても山道が続いているようには見えなかった。ここではなさそうだと無視して進んでしまった。やがて林道が消えて、登山道とは思えない道になる。いくつも「危険」と書いた立て札がある。しかもその道標は振り返んないと見えない。来た方向が「危険」だったのだ。
神ノ川ヒュッテからの直登ルートにぶつかるまで、隧道から30分要した。
犬越路についたのは11:30になっていた。大室山山頂に着いていなくてはいけない時間だ。
犬越路は綺麗な避難小屋があり、椅子も少々。南面が開けていて見晴らしが良い。

   待望のシロヤシオ

犬越路で食事を摂って、大室山に向かう。軽いアップダウンの続く明るい尾根道。待望のシロヤシオが見れる。なんと清楚な花だろう。頑張ってきた甲斐があった。
最後がちょっとした登りになっており、一息ついたところが、加入道山への分岐になっていた。ここからは平らな道を5分で大室山山頂。
山頂に着いたのは14:00近かった。山頂は広いが、展望は効かない。時間的に遅かったせいだろうか、人影はまばらだった。


   大室山山頂の様子


下山は、神ノ川ヒュッテに直接下りる道を選ぶ。ただこの道は昭文社の山の地図でも破線で記されている。まともな道ではなさそうだ。下り口からして良くわからなかった。道標もないのだ。広い尾根を時折消える踏み跡と木に巻かれた赤いテープを頼りに、下っていった。1時間弱で尾根を外れて南に下るはずだが、見落とせば少々難儀になりそうだ。幸い尾根から離れる地点に小さな道標があり、難は免れた。道は踏まれていない分、柔らかく滑りにくい。登山靴でなくても歩き易くはあった。標高差1000mを2時間弱で下り、神ノ川ヒュッテに着く。さらに10分で駐車地点。
帰りの温泉は、青根緑の休暇村いやしの湯を選ぶ。新しく綺麗な公共の日帰り温泉だった。
今回の山行きは、忘れ物、遠回り、道標の見落としと、失敗の連続だった。大室山からの下りで失敗しなかったので事なきを得たが、決して褒められた山行きではない。みなさん、忘れ物はしないように。