甲府の北、長野との県境に大弛峠(オオダルミトウゲと読む)がある。標高は2360m。自動車車両が通行できる日本最高所の車道峠。車が通り抜けられる峠では日本最高所という意味だ。
因みに、ここより高くまで車でいける箇所はある。乗鞍スカイラインと富士スバルライン。
今回この大弛峠を起点にして、百名山の一座、金峰山に登ることにした。金峰山の標高は2592m。2600m近い山が標高差230m強のお手軽登山になる。このインチキ臭さに抵抗を覚えたが、金峰山という山の魅力に抗する事はできなかった。
高山植物を楽しむ夏山登山でもなく紅葉を楽しむ秋山登山でもない、9月の下旬。登山としてはやや中途半端な季節にこの山を訪れた。 |
|
金峰山の象徴、五丈石 |
☆☆所感☆☆
気持ちの良い山歩きは出来るが、大弛峠までのアプローチが大変。車でいやっと言うほどワインディングロードを走り続けなければならない。 |
|
|
行程
大弛峠 |
9:45 |
朝日岳 |
10:55 |
金峰山頂着 |
12:25 |
金峰山頂発 |
13:10 |
朝日岳 |
14:40 |
大弛峠 |
16:15 |
|
|
難易度 |
★★★ |
行程時間(含む休憩) |
6時間30分 |
駐車スペース |
大弛峠に20台弱。とても足りてないので、山頂近くで縦列駐車する可能性高し。 |
トイレ |
大弛峠 |
登山口 |
わかりやすい |
帰りの温泉 |
?? |
お勧め度 |
★★★ |
|
6時に家を出て、中央高速勝沼ICを下りたのは8時過ぎ、ここから一時間かけて、大弛峠に着く。長い林道ドライブで、後半はかなりダレてしまった。ただ、道幅は広く、峠までは舗装されている。峠を越えて長野側に入ると、未舗装になるので注意した方が良い。駐車場は道の半分に白線を敷いて作った物。20台ほどしか停まれない。とても足りてないので、停まれなければ近くに縦列駐車する事になる。まあ、道幅が広いので、それほど苦にすることはない。 |
|
峠からしばらくは軽い登り。標高差100m弱。その後はアップダウンを繰り返しながら標高を稼ぐ道になる。1時間強で朝日岳に着く。山頂付近で、一定地域の木が立ち枯れていたところを見た。北八ヶ岳にある縞枯れに似ている。 |
今日はあまり天気が良くない。一瞬の雲の間から金峰山頂が見えた。山の南端(上の写真では左側)に、金峰の象徴、五丈石も見える。
朝日岳からは再び軽いアップダウンの道。 |
|
金峰山に近づくと、急にシャクナゲの林になる。「そろそろ森林限界か」と思うまもなく、5分ほどでハイマツ帯になった。 |
視界が開けるようになる。北に廻目平が見える。フリークライミングのメッカらしく、細長い岩峰が多数。 |
|
緩やかな登りのハイマツ帯を進む。明るい稜線を歩くと、南北アルプスの尾根歩きをしているような気分になる。 |
|
|
道にころがっている石がだんだん大きくなり、よじ登って越えなくてはいけなくなる。最後に岩のトンネルを潜り抜けた所が山頂だった。
山頂の先に五丈石が見えている。
山頂は、奥秩父随一の展望のはずだが、今日は近くの、瑞牆山、小川山くらいしか見えない。
昼食の後、行き来た道を戻る。
帰りにちょっとしたトラブルがあった。なまけものハイカーカミさんの足が攣ってしまった。夏に至仏山に登った時以来2度目。そう難しくない今回のコースでの出来事だけに将来に不安を覚える。 |
★★ちょっとウンチク★★「金峰山と雷鳥」
大弛峠にある大弛小屋で登山バッジを購入。金峰山のバッジを買うのは2度目。1998年に今回とは逆の登り口、増富温泉の上、瑞牆山荘で購入した。その時、「雷鳥」をあしらったバッジが置いてあり、「金峰山に雷鳥はいるのですか?」とツッコムとすぐさま、奥のほうから「アズマシャクナゲ」をあしらったのを出してきた。当時、ウソのないデザインのバッジを買うべきと、「アズマシャクナゲ」のバッジを買ったが、ずうっと、存在しないハズの「雷鳥」のデザインのバッジを購入しなかった事が心残りだった。
それから12年。大弛小屋にも同じバッジを置いていた。もちろん、今回も同じツッコミをした。今回は、直ぐに「昭和42年に雷鳥が放鳥されており、今でもその時の子孫が生息しているハズです。」と用意されたような回答が返ってきた。今回は迷わず、「雷鳥」のバッジを購入。
と言うわけで、雷鳥と金峰山について調べてみた。
現在、日本で雷鳥の生息が確認されているのは、南アルプス、北アルプス、火打山/焼山と木曽御嶽山のみ。かつて八ヶ岳、中央アルプス、白山にもいたようだが、いずれも死に絶えている。金峰山には、1967年に北岳から5羽の成鳥が捕獲され放鳥されたが、10年ほどで確認の情報が途絶えた。雷鳥が生息するには、金峰山のハイマツ帯は小さすぎたようだ。はるかに大きなハイマツ帯を抱える八ヶ岳や中央アルプス、白山で、絶滅している事を考えれば当然のことかもしれない。
そんな金峰山の雷鳥も数年は生き延びたようで、定着を歓び、どこかの山小屋の主が雷鳥をあしらったバッジを作ったようだ。放鳥から40年あまりが経過した今でも、デザインを変更しない気持ちはわからなくもない。いや、ある程度経過してしまえば、今度は変えられなくなったのかもしれない。そして、前述の大弛小屋の親父の発言になる。
こうなると「アズマシャクナゲ」が本当に金峰山にあるのかまで,、疑いたくなってしまった。9月も終わりになると、歩いていてもシャクナゲがあるのはわかるが、花が咲いてないので、シロウトの私にはアズマシャクナゲかわからない。こちらはちょっと調べただけでも、いっぱい画像がでてきた。普通に咲いているようだった。
|
|