タイトル 2031m  二百名山 登山日:2007年10月21日

「山頂の眺めは感動的、でも道は険しくわかりにくい」

昔から登ってみたい山だった。好展望の山という評判は聞いていた。それだけに天気を慎重に選んで登ってみたかった。麓まで行き、展望が期待できないと判断して、断念したこともあった。
そして、この日は間違いなく快晴。季節も最高。心躍らせながら、この山に向かった。
乾徳山に登るには主に3つのルートがある。山に南の徳和から道満尾根を真っ直ぐ登るルート。徳和から20分ほど林道を歩き、山の東側から銀晶水、錦晶水を経て、登るルート。どうやらこれが、メインルートみたいだ。
そして、山の西側、大平牧場から登るルート。こちらは裏ルートだが、標高差が最も小さい。
もちろん、なまけものハイカーは大平牧場ルートを選んだ。

月見岩のすすき野から見た富士山
月見岩のすすき野から見た富士山
山頂の様子南アルプス 山頂付近からの富士山頂から北西側の展望
髭剃岩? 月見岩のすすき野から見た富士山月見岩と乾徳山
道はまるでわからない。頼りは赤いリボン。
「塩山郵便局」と書いてある遺棄車
乾徳山登山口 大平牧場から見た乾徳山大平牧場の駐車場
行程
大平牧場 9:00
登山口 9:25
国師ヶ原への分岐 10:00
月見岩 10:40
乾徳山山頂着 12:05
乾徳山山頂発 13:10
黒金山への分岐 13:30
国師ヶ原交差点 15:00
国師ヶ原への分岐 15:20
大平牧場 15:55

難易度 ★★★★
行程時間(含む休憩) 6時間55分
駐車スペース 大平牧場(20台ほど)有料:500円
トイレ 大平牧場
登山口 わかり難い
帰りの温泉 笛吹の湯
お勧め度 ★★★★

   大平牧場の駐車場

6:20に家を出て、中央高速を西に向かう。勝沼ICで下りて、北に向かい、塩山の先で国道140号線に入る。徳和方面の分岐を過ぎて、大平牧場の看板を左に折れ、林道に入る。もし対向車が来たら少々苦労しそうな道だ。
10分ほどで、大平牧場に着いたときには、8:30を回っていた。
20台は停められる広い敷地の駐車場がある。駐車場代は500円。でも、今日のような絶好のシーズンに数台の駐車しかない。やはりこのルートはかなりマイナーなのかもしれない。満車になることはないだろう。

   大平牧場から見た乾徳山

駐車場からしばらく林道歩きになる。林道を素直に歩いても、登山口の大きな看板を見つけることはできるが、その前に1箇所ショートカットがある。こちらはちょっとわかりにくい。まあ、林道の両脇は牧場、のどかな風景を楽しみながら歩くのも良い。ショートカットにこだわる必要はないだろう。

   乾徳山登山口

駐車場から林道歩き20分強で登山口の大きな看板に出会う。この登山口からが苦労の連続だった。道標が少なく踏み跡を慎重に見極めて前に進むしかない。しばらくすると、林道に出会う。登山道は一直線に登るが、コースと並行してつづら登りの林道があり、何度も林道と登山道が交差している。やがて林道と離れて、道満尾根の尾根道になる。林道をそのまま進めば国師ヶ原だ。道標はほとんどないので、道満尾根コースと国師ヶ原方面を間違え易い。

   月見岩と乾徳山


尾根道は歩き易い緩やかな登り。40分ほどですすき野に出る。真正面には山頂とおぼしきピークが見えてくる。背中には富士が見えてきた。すすき野の真ん中に大きな岩があった。月見岩だった。国師ヶ原からのコースとここで合流。

        髭剃岩?

月見岩から5分ほどで扇平。ここから再び山林に入る。やがてハシゴ、鎖場の連続となる。そして最後に高さ20mほどの大きな岩が聳えていた。天狗岩である。あまり足がかりが多くなさそう。この上が山頂らしい。一本の鎖があり、10人ほどが順番待ちの列を作っていた。しばらく待っていたが、「なまけものハイカーカミさん」にはどう見ても難しそうな登りである。迂回道があると聞き、そちらを選ぶことにする。

   山頂の様子

山頂は岩場で狭い。去年登った常念岳の山頂に似ている。登山者も多いので、お店を開くのに苦労する。やっと岩場の間にバーナーの置ける平らなところを見つけて、その前で昼食を摂る。今日の昼食は卵と乾燥ねぎ入りのインスタントラーメン。家で食べるインスタントラーメンは実にまずいが、山の上で食べるとこんなに美味しい物はないから不思議だ。


   南アルプス

展望は完全360度。西には南アルプス、甲斐駒ケ岳から塩見岳まで、百名山の揃い踏み。3000m超級の山には雪がうっすらとかかっている。

   山頂付近からの富士

北は秩父の山々、正面に国師ヶ岳、その右に甲武信岳から雲取山まで、大岳山、三頭山。東には大菩薩連峰、そして南は甲府盆地を経てその向こうに富士山。

山頂から北西側の展望


   道はまるでわからない。頼りは赤いリボン。

1時間の休憩の後、北に向かう。岩場を渡り歩くコース。ルートを見失い、リカバーのために足場のない3mほどの岩を下りなくてはいけなくなってしまった。ここでなまけものハイカーカミさんが、足を滑らせ、肩を打って亜脱臼してしまった。
20分ほどで、黒金山への分岐と別れ、乾徳山の東側を巻きながら下る。このコースは、ほとんど踏まれておらず、加えて落葉で道が全く見えない。頼りは所々にあるリボンのみ。慎重に歩を進めながら1時間強で、高原ヒュッテに着いた。
高原ヒュッテ、ヒュッテと名はついているが、今は無人の避難小屋になっていた。と言えば体はいいが、実態はただの廃屋。「雨露がしのげる」程度の存在だった。ここから1分で国師ヶ原の交差点、そのまま道満尾根への軽い登りを過ぎ、行き来た林道のつづら下りに至る。

  「塩山郵便局」と書いてある遺棄車

林道の終点近くで不思議な遺棄車を見つけた。軽の赤い(正確には赤かった)1ボックスだが、「塩山郵便局」の表示がある。郵便局がこんな所に車を捨てるものだろうか?まあ、たとえ民間に払い下げられ、その後に何者かが遺棄したものであっても、今は民間の会社。「イメージダウンにつながるので、民間出身のCEO西川さんなら処分させるだろうなあ」なんて事を考えながら道を下った。
帰りの温泉は、笛吹の湯。140号線に出て1-2km北に向かった所にある。昔からある公共の温泉らしい。料金は500円。露天風呂は少々ぬるいが、源泉をそのまま引いてきているようだ。無理やり掘って、地下水を暖めたような温泉施設が多い中、こういうところはほっとする。
夜も遅くなり、夕食を140号線沿い「雅」で摂る。美味しいほうとうを食べさせてくれる。摂れたての山のキノコが入っていた。麺をゆでるのに時間がかかるので、その前にサービスで「ダイコンの煮付け」「自家製さしみこんにゃく(自家製味噌つき)」が出てきた。お土産にその「自家製さしこん」「自家製味噌」を買って帰ったが、おまけに「生椎茸」までくれた。

乾徳山、素晴らしい展望の山だったが、道には非常に苦労した。手軽に登れるとは言え、2000m級である。もし訪れるのなら、地図とコンパス、万一の時の救急用具、予備の食料は忘れないほうがいいだろう。