御正体山タイトル2693m 登山日:2013年9月21日

「最も近くから見る事が出来る『山からの富士』」

9月はトレッキングには中途半端な季節だ。山の花は終わっているし、紅葉にはまだ早い。この時期に登りたいというのが各山にあるが、9月に登りたいという山は見あたらない。しかし、花も紅葉も関係なさそうなこの季節でも山に登りたいという気持ちは変わらない。そこで、思いついたのが、宝永山だった。この山なら、登りはじめから森林限界を超え、咲いているのもフジアザミとオンダテだけ。花を楽しむところでもない。
そんな後ろむきな山行きだったが、登ってみて、「こんな素晴らしい山景がこんなに手近で見られるなんて、」と感動してしまった。
考えてみれば、この山の標高は、2700mクラス。ここより高い山は南/中央/北アルプスと御嶽山、八ヶ岳、白山しかない。首都圏から最も手近で高山の雰囲気を味わえる場所だった。もちろん、富士山をここより近くで見ることは出来ない。登ってみてお勧めの山に変わってしまった。

☆☆感想☆☆
下の地図でもわかるように、富士山頂火口に比べて、宝永山火口のほうが大きい。そしてこの火口は富士では最後に爆発した火口。そんな火口の底を歩いて内壁を登るコース。
これだけでも充分面白いコースだが、火口を登りきって、馬の背から宝永山頂まで見る山景は絶景。普段観る神々しい富士と違う、現実の山、荒々しい山となっている。周囲の雲海も素晴らしかった。雲がなければ、もっと素晴らしい景色が見られるかも。
運が良かったのか傘雲を見る事が出来た。いつも写真で固定した傘雲しか見た事がなかったが、実態は一分も存在しない。綺麗なのは数秒だった。
運が良かったのかもしれないが、他では見られない景色を楽しめる山旅だった。

驚いたことにこの時期でも富士山頂を目指す人は多数いた。冷静に見て、今日の天気ならば最高の山旅を楽しめただろう。しかし、六合目より先には山小屋はない。ちょっと天気が悪くなっても、富士のノッペリした山肌ではビバークも簡単でないだろう。全ては自己責任ということ。
宝永山頂から見た富士
宝永山頂から見た富士
馬の背から砂走り方面
傘雲
火山砂利の登り 宝永山頂から見た富士雲海 山頂の様子宝永山頂から見た富士
雲海荘 第一火口縁から
駐車スペースの様子 第二火口縁から新五合目に向かう道
行程
富士宮口五合目 11:20
雲海荘 11:40
宝永第一火口縁 11:50
宝永山頂着 13:00
宝永山頂発 14:00
宝永第一火口縁 14:55
富士宮口五合目 15:40

難易度 ★★★
行程時間(含む休憩) 4時間20分
駐車スペース 富士宮口新五合目
トイレ 新五合目、雲海荘
登山口 わかりやすい
帰りの温泉 -
お勧め度 ★★★★

駐車スペースの様子

07:15に自宅を出て、川崎インターから渋滞に巻き込まれ、富士宮口五合目に着いたのは10:45。道沿いにズラッと駐車スペースが設けられており、500台は停められそう。そのスペースが満杯だった。9月下旬、シーズンの外れているこの時期に。

雲海荘

五合目から20分も歩くと、雲海荘。ここで富士山頂に向かう道と分かれる。この先、富士山頂に向かう道は9/2以降閉鎖されているが、驚いたことに、閉鎖を無視してドンドン登っていく。昼前の11:40過ぎ、この先は宿泊施設も閉まっている。この時間に登れば、ビバークも覚悟と言う時間に、どう見てもまともな装備を持たない人たちが...。

第一火口縁から

宝永第一火口縁から火口の底を横切って、火口内壁を登る道に。火口の底を横切る道も内壁を登る道もあまり経験がない。

火山砂利の登り

火口内壁を登る道は急登。火山砂利の登りで50cm踏み出すと30cm滑って戻ってしまう。

傘雲

傘雲が見られた。綺麗な形を保っているのは数秒。急に現れて直ぐ消えてしまう。

馬の背から

火口内壁を登りきったところが、馬の背。

宝永山頂から見た富士

宝永山山頂から見た富士山。遠くから見る富士は神々しいが、ここから見る富士は荒々しい。

雲海

山頂付近から見た雲海。

山頂の様子

山頂の様子。山頂なのに馬の背から少し下ったところにある。
砂走り方面

富士山肌と雲海。
第二火口縁から新五合目に向かう道

帰りは、宝永山第一火口縁から第二火口縁まで下って、そこから駐車場に向かう。往路は森林限界の上、復路は森林限界の下になる。