タイトル  2462m  百名山 登山日:2007年8月12日
タイトル  2454m  百名山 登山日:2007年8月13日

「高層湿原を縫うように歩く山旅」

火打山、妙高山と2つの百名山を縦走した。縦走と言っても尾根歩きではなく天狗の庭、高谷池、黒沢池という3つの高層湿原を縫うように歩く山旅になった。
「なまけものハイカー」はここより高い所にある湿原に出会ったことはない。もしかすると日本最高所の湿原では?と調べてみた。
日本最高所と紹介されている湿原は栃木の鬼怒沼湿原、群馬/長野の県境にある池の平湿原と2箇所あった。標高は2000〜2040mクラス。2箇所も日本最高所の湿原があるのはおかしいが、天狗の庭、高谷池共に2100mを越えた位置にあり、こちらの方が明らかに高い。
では、天狗の庭は日本最高所の湿原か?これも正しくなさそうだ。こことほぼ同高度の苗場山山頂、平ヶ岳山頂付近も湿原になっていた。さらに白馬の天狗原湿原、立山の五色ヶ原は2400mクラス。そう言えば昔行った雲の平も湿原と言えるような湿地帯があったような気もする。ここなら2500mクラス。これだけ高所に普通に、湿原があるのに鬼怒沼湿原、池の平湿原を「日本最高所の湿原」と名乗っているとなると、「湿原」の定義が難しいのか?それとも、鬼怒沼湿原、池の平湿原の記載は「失言」なのか?
ともかく湿原のような地形を縫うように歩く気持ちの良い山旅になったことだけは間違いない。
<リンク>
高谷池ヒュッテ
天狗の庭から見た火打山
天狗の庭から見た火打山
火打山頂から見た妙高山 ヒメシャジン
天狗の庭から見た火打天狗の庭から見たワタスゲと火打
高谷池ヒュッテ高谷池ヒュッテから見た高谷池と火打山 キヌガサソウサンカヨウの実
クモナニガナ 黒沢池ヒュッテ
ワタスゲ水芭蕉の残骸 大倉乗越から見た妙高
火打山に続く道標 妙高山頂の様子 妙高山東側の眺め
延々と続く木道
笹ヶ峰口の登山ゲート 笹ヶ峰の登山口のゲートで万歳
行程
1日目
笹ヶ峰口 7:50
黒沢橋 8:40
富士見平 10:40
高谷池ヒュッテ着 11:40
高谷池ヒュッテ発 12:35
雷鳥平 13:40
火打山頂着 14:35
火打山頂発 15:10
雷鳥平 15:40
高谷池ヒュッテ着 16:45
2日目
高谷池ヒュッテ発 5:45
黒沢池ヒュッテ 6:35
大倉乗越 7:15
水場 8:00
妙高山頂着 9:45
妙高山頂発 10:40
水場 11:50
大倉乗越 12:45
黒沢ヒュッテ 13:15
富士見平 14:10
黒沢橋 15:30
笹ヶ峰口 16:25

難易度 ★★★★
行程時間(含む休憩) 1日目:9時間55分
2日目:10時間40分
駐車スペース 笹ヶ峰口
トイレ 笹ヶ峰口、高谷池ヒュッテ、黒沢池ヒュッテ
登山口 わかり易い
帰りの温泉 赤倉温泉他
お勧め度 ★★★★

   笹ヶ峰口の登山ゲート

前日、登山口のある笹ヶ峰オートキャンプ場に泊まった。スペースに余裕があり、綺麗に整備された、気持ちの良いキャンプ場だ。当日、5:00に起床。オートキャンプ場の朝は遅い。こちらは山行きなので「いくらなまけものハイカー」でも早い。みんなが寝静まっている中、黙々と支度をする。それでも撤収を終えて、登山を開始したのは7:50だった。
ここの登山口には登山者用に30台規模の駐車場。さらにキャンプ場用の駐車場があり、車を停めるのに苦労することはなさそうだ。登山口は少々変わっていて、上の写真のようなゲートがある。登山届けを書いていざ出発。

   延々と続く木道

始めは、緩やかな登り。キャンプ者散策用の遊歩道にもなっているので、整備され、木道になっている。うっそうとした森の中少しずつ高度を稼ぐ。
1時間ほどで黒沢橋に着く。ここからは本格的な登りになる。少し行くと、つづら登りになる。十二曲りと言う地名らしく、本当にきちんと、十二曲りめのコーナーを曲がると直線になり、つづら登りが終わった。地名の数はあてにならないと思っていたが、そうでもない場合もあるという事か。
でもここで登りが終わったわけではなかった。延々と急登が続く。

   火打山に続く道標

ここは笹ヶ峰から(火打山)山頂まで上のような道標が1kmおきにある。笹ヶ峰から山頂まで9km。この辺りまで3kmという事だが、実感ベースでは倍以上距離がありそうだ。
黒沢橋から2時間弱で富士見平に着く。地図には「黒姫山の上に富士が見える」と書いてあったので展望を期待したが、木の間からやっと黒姫山が見えるくらい。富士は見えなかった。

   高谷池ヒュッテ


富士見平を過ぎると、再び緩やかな登りに戻る。道脇にはクモナニガナが目立つ。やがて左に火打山が見えてくる。その手前に三角屋根の高谷池ヒュッテ(「こうやいけ」と読む)がある。
一時間ほどでヒュッテに着く。目の前は湿地帯(前述の話からすると湿原と言わないのかも)。その向こうに火打。宿泊の手続きをとって、昼食のラーメンを食べた後、火打ちに向かう。

   高谷池ヒュッテから見た高谷池と火打山

高谷池ヒュッテから天狗の庭までは、湿原の脇を進む道。火打の緩やかな稜線と湿原は実にマッチしている。特に天狗の庭と火打の組み合わせは最高で、できればここでゆっくりしたい。楽しみは帰りと考えて、道を急ぐ。

   天狗の庭から見たワタスゲと火打

天狗の庭を過ぎると、再度急登になる。背中に徐々に明日登る妙高山が見えてくる。急登の脇にヒメシャジンの群落に出会う。「なまけものハイカーカミサン」のペースが急に落ちてくる。そろそろエネルギー切れかと思う頃、山頂に到着。


   火打山頂から見た妙高山

山頂は広く、完全360度の展望。南東に北アルプスの山々が見えるはずだが、ちょうど雲にかかってしまい、見えない。南には高妻山。西は明日登る妙高になる。2つに割れた山頂、それを取り囲む外輪山、その下に高谷池の湿原が広がる。北は日本海が見えるはずだが、こちらも雲がかかっている。東は焼山と金山、その間にちょこっと明後日登る雨飾山が見える。火打から見ると雨飾は可愛い山だ。夕食に遅れないように30分ほどで、山頂からヒュッテに戻る。

   黒沢池ヒュッテ

二日目は5:45に出発。今日も長丁場、下りになるので楽と思ったが、間違いであることに途中で気がついた。もちろん朝の時点ではわからない。緩やかなアップダウンの続く道。道脇にキヌガサソウサンカヨウは既にブルーベリーのような実がついていた。
一時間弱で黒沢池ヒュッテ。プラネタリウムのような面白い形をしている。

   大倉乗越から見た妙高

黒沢池ヒュッテから今日一回目のまじめな登り。妙高の外輪山に取り掛かる。高度差100mを一気に登り大倉乗越に着く。目の前に妙高。外輪山と火山の間にある火口原は狭く、火口原というよりは火口谷と言える様な存在。乗越から見る妙高は愛嬌があって可愛い。「なまけものハイカー」にはお尻に見える。
100mほど下って、水場。ここで水を補給する予定であったが、完全に枯れていた。ずうっと、湿原を歩いてきたので、まともな水を補給できていない。ここで美味しい水をガブガブ飲みたい。と前日から思っていたので、がっくり。

   妙高山頂の様子

ここから400m強登り返しだ。高度差400mの山を登るのはたいしたことないが、何度もアップダウンを繰り返した後の400mの登りは応える。しかも、めったに見ない急登だった。1時間半強かけて山頂にたどり着く。
山頂は360度の展望。特に東側の眺めが良い。眼下に野尻湖、その向こうに上信越国境の山が見える。その右には富士の先っぽが見えた。
頂上の5分ほど南にもう一つピークがある。地図ではそちらの方が高そうだが、そこまでも行く気力もなかった。どうせ後で後悔するのはわかっているのだが...。


   水芭蕉の残骸

行き来た道を戻る。400mの標高差を下り、100mを登り返す。今日、何度目の登りだろうか?結構しんどいコースだ。激しいアップダウンが断続的に続く。が、それもこの大倉乗越で終わり。後は下るだけだ。黒沢ヒュッテまで下ると、しばらく、黒沢池を見ながらの木道になる。道端に水芭蕉がある。白い花はない。緑の大きな葉だけが残っている。

   笹ヶ峰の登山口のゲートで万歳

富士見平からは前日行き来た道を戻る。十二曲りを過ぎ、黒沢橋で一休み。ようやく、水をがぶ飲みできる。

森の木道を戻って、登山口のゲートに辿りつく。思わず万歳をしてしまった。
妙高山頂東側の眺め
妙高山頂東側の眺め