5.調 整
いよいよ配線も終わり,いよいよ100Vを入れる時が近づいてきました。しかし、ここで焦ってはいけません。配線が正しくされているか、隣の端子同士がショートしていないか、回路図や実態図を見ながら最後の点検作業を実施、電圧は最高で250V程かかるのでやはり慎重になる。
う〜ん、特に問題は無い様子。ここで最後の組立作業である5本の真空管を間違わないようにソケットに挿していく。コレで、いよいよ電源投入の時がやって来たが、電源を入れたいと言うはやる気持ちと裏腹に、自分で全て組立てたのにもかかわらず、誤配線で壊れはしないかと言う不安。
とにかく勇気を振り絞ってスイッチを入れる。
「カチッ」 しばらくするとスピーカーが「ブーン」
各真空管のヒータが点火しているかを目視点検。無事に点火している様子。ここでわざと部屋の電気を消し暖まって赤く光った真空管のヒーターを堪能する。
しかし、ラジオはまだ完成していない。肝心の調整をして本来の機能は発揮させなければならない。
調整作業に入る前のラジオ
とりあえず、電圧が正常かをテスターで確認すると、まず問題はなさそうである。
上:230Vを指している様子。 |
真空管のラジオは何かアンテナ(今回は1m程のリード線)を付けないと何も聞こえないとか。とにかく付属の線をアンテナ端子に接続する。そしてダイヤルと回すと、、、、
オオッ! 聞こえる聞こえる。どこの局かは判らないが確かに聞こえる。感動の瞬間である。真空管という古い部品でラジオ放送が聞こえるなんて、別に珍しくは無い事ではないが、初めて手がげただけにとても新鮮な気持ちである。
調整にはテスター以外にテストオシレーターや周波数カウンターがあると便利なのだが、自分はテスター以外は持っていない。添付された説明書では実放送を聴きながら十分に可能との事。
まずはIFTの調整だが、ポイントは2個のIFTが同一の中間周波数(ここでは455kHz)に共振していれば良いのだが、コレはほとんど調整済みの様でほとんどコアを回す事はありませんでした。
次にトラッキングの調整に這入る。この調整の目的等の詳細については省略するが、説明書によれば、次の事をする事になる。
@バリコンの羽根が30%抜けたあたり(バーニアダイヤルで30位)で700KHzの放送を受信。
Aずれている時は局発コイルのコアを調整。
Bその放送が最大感度になるようにANTコイルのコアを調整。
Cバリコンの羽根が70%抜けたあたり(ダイヤルで70位)で1200KHzの放送を受信。
Dずれている時は局発コイルのコアを調整。
Eその放送が最大感度になるようにANTコイルのトリマーを調整。
F@〜Eを3回ほど繰り返し調整する。
となっていました。
幸いにも私の住む横浜では多くの放送局が聞けるので、700k付近では693KHz(NHK第2:JOAB)を、1200KHz付近では1242KHz(ニッポン放送:JOLF)をそれぞれパイロット局として調整する事が出来ました。調整するごとにスピーカから大きなそして綺麗な音で放送が聞こえてくるようになり、ラジオの完成に近づいてきたと言う実感が沸いてきました。
さぁ、中波の調整が終了し残すは短波の調整のみ。バンド切替スイッチをカチッと捻り、何か放送局は聞こえないかダイヤルを回すと、、、なんと何も聞こえない。えっ?そんなはずは無いっ!何度ダイヤルを回しても全く聞こえない。中波に戻すと良好に受信できる。配線を見ても、中波が正しく受信できていれば、配線ミスの範囲は絞られてくる。さてはコイルパックの短波部分が不良なのか?
散々悩んだ挙句に、発売元にメールで問い合わせると、バンド切替スイッチ(コイルパック)は中波と短波の間にニュートラルがあるとの事。慌てて、切替スイッチをさらに右に回すと「カチッ」とまわり何か聞こえてくる。参った。コレには閉口した。単純な思い違いだけに恥ずかしいような、呆れるような、、、
気を取り直して中波と同じように調整を使用と思ったら、またまた問題発生。説明にはバリコンの位置と具体的な周波数と書かれていたが、短波はそれが無い。しかも、海外局が多い事もあり信号が中波より弱いし、フェージングで安定しいない。その局が実際に何ヘルツの波なのかも聞いただけでは判らない。雑誌には7300KHz〜15700kHz位にチューニングできると書いてある。
そこで、自分の短波ラジオ(ICF‐7601:SONY製)を持ち出し、7MHzの真ん中あたりの局を探し特に調整しやすい音楽放送を選択。それを聞きながら、局発コイルやダイヤルを回すと言う結構地道な調整になった。周波数の下が決まると15MHzの中ほどの局を同じようにして探しだし調整する。ここで、再度7MHzの方へ戻るとなんとさっきの局が放送を終えたのか、信号が無くなったのか、全く見当たらない。改めてどこか参考になる局を探す事になってしまった。どうも、短波の調整は中波ほど簡単にはいかないようだ。また、短波帯波ダイヤルの100の目盛りで約8MHzをカバーする。その点中波は約1MHzであり、チューニング自体が短波の方がちょっとした変化に左右されやすい。
短波帯のコアを調整 | 中波帯のトリマを調整 | 短波ラジオで局を探しながらの 調整の様子。 グレーの線がアンテナ線。 |
それでも何だかんだで、忍耐強く放送局を見つけ、徐々に調整を行い、最終的に7250kHz〜15450kHzをカバーできるように調整する事ができ、やっとラジオとして完成しました。