ビンテージドラム(中古ドラム・スネア)購入時のポイント

大変僭越ながら、数少ないドラム経験より
購入時に注意すべき点を列挙してみました

ヴィンテージドラム(含ロジャース)を購入する時の一助になれば幸甚です!

一応スネアをメインに書きましたが太鼓全般にもあてはまるかと存じます
(大きなお世話でしたら誠にもってゴメンナサイ、お許しの程を・・・)

では、まず一般的なところから…

1. シェルにへこみ、ゆがみ(真円の狂い)はないか

2. 木胴の場合、シェルにヒビ、プライのはがれ、塗料のはがれなどはないか

3. メタル胴のシェルや、ラグなどの金属パーツ部分にメッキの浮き、サビはないか

4. フープのゆがみ、サビはないか(またオリジナルか?)

5. スナッピーテンション調整ネジのゆがみはないか

6. シェルのエッジは死んでいないか

7. スイッチ(ストレイナー)は正しく機能するか(純正か?)

8. すべてのテンションボルトの形態や長さは同じか、サビはないか(純正か?)

9. 必要な各部のネジはすべて付いているか?(ネジ山は潰れていないか?)

10. ペーパーダグやバッジの付いているもの、いないもの(シリアルNo.等の記載)

11. スナッピーワイヤーは純正か?(中には貴重なものもあります)

12. カバリングの場合、全体のヤケ具合・接着のハガレ(浮き)、リフィニッシュ?

13. 内蔵のトーンコントロールについて

14. タムホルダー、フロアタム・ベードラ脚など各ハードウエア・パーツについて

etc...

1.〜5. あたりで、大切な太鼓をぶつけたり落っことした経歴が有るか無いか、大体想像がつきます
・特に1. ではラグの周囲に注目! ドラムを落とすとココに歪みが出る場合があります
・薄い木胴の場合、スナッピーを過度のハイテンション状態にしておくと真円が狂うかも?
・ぶつけてメッキがはがれたものなどは要注意
・経年変化によるある程度のピッティング(メッキの浮き)は、許容範囲かどうかでしょう
・フープがいっちゃっていると、まともなチューニングが出来ません!
・スナッピーテンション調整ネジをぶつけたものは、回転させると歪んで回ります
・ビンドラに装備される事の多いレインフォースメント(エッジ補強材)の継ぎ目も要確認
 (万一ここがはがれてしまっていたら… どうぞこちらもご参考になさってみて下さい!

6. で、もしエッジがいかれちゃっていても、適切なショップでリペアをして頂くと、復活の可能性も大!

4. 8. あたりは、交換されている場合があります
・フープは各メーカーによってかなり形態が異なります
 ロジャースやラディック、ヤマハなどのメーカー製フープは、特にボルト穴近辺のフランジカーブに特徴があるので、違いは一目瞭然です
・ちなみにロジャース社のフープはすべてプレス製ですが、年代によって背丈や形態が微妙に異なります
たとえ同一メーカーであっても、オリジナルフープかどうかの判別には、その製品がおかれた時代背景等のノウハウが必要になりそうです
(これを知っていくのがまた楽しかったりするのですが… ^^)
・オリジナルのテンションボルトがサビサビの場合、逆に代替品に交換してしまうのも有効な手段と考えます
 テンションボルトに限っては、多くの場合国産製品でもネジピッチが同じですので「TAMA」や「PEARL」などから長さの同じものを購入し交換する事が可能です ただし、ネジ山部分とメッキ部分の長さの比率がオリジナルと全く同じものを探すとなると、それは至難の技かも知れません… (注:一部の太鼓には特殊なボルトが使われてるものもあるので要確認)

9. で、スナッピーコード固定用のネジ山が潰れているとスネッピー交換が出来なくなる恐れあり
・各ネジのゆるみにも注意!
ラグやスイッチ、バットプレートの取り付けネジ等です
これらのどの部分のネジがゆるんでいても、直接サウンドに影響する可能性大です

4. 7. 8. 10. 11. などは、あくまでもオリジナルにこだわるかどうかだと思われます
・スイッチが交換されている場合、エクストラ・ホールがあるかも知れません
・グレッチのオリジナル42ストランドのスナッピーなどは現在なかなか手に入れにくいそうです
ロジャースのオリジナルスナッピーに至っては、国内で単品入手出来たらまさに奇跡かも!!

12. ラグの取付け部分からカバリングにヒビの入る事があります
  (過度のヘッドテンションのせいで起こる場合もあり)
カバリング自体がリフィニッシュされている場合もあるようです

13. ビンものの多くは内蔵トーンコントロールが付いていると思われます
これが外されていると、当然そこには余分な取り付け穴が存在することになります

14. 耐久性・演奏性の問題から、ビンテージドラムのパーツが交換される事もあるようです
(一部の華奢なビンテージパーツにおいては、これは決して否定される事ではないかも知れません)

さて、肝心のサウンドについてですが、これはなかなかむずかしい問題です

サウンドさえ良けりゃ見てくれはどうでも良いって考えもあるかも知れませんし、1.〜12. などの条件がそろってはじめてサウンドチェックをしなければ気が済まないという方もいらっしゃるかも知れません。気分的にピカピカでなきゃダメな方もいれば、ビンもの(ビンテージ)はそこそこくたびれていたほうが味があって良いと思う方とか… まさに十人十色と言えそうです。

上記の中で、特にサウンドに直接影響を与えそうな事項としましては、1. 2. 4. 6. 7. 9. 11. あたりでしょうか? (ルックスやサウンドへの影響を無視してもよいなら、メタルシェルの場合、多少のヘコみは「ハンマードシェル」だと考えればそれはそれでオッケーなのかも知れません)

メタルシェルや金属パーツにおける多少の曇りは、丁寧に磨く事によりピカピカになる事も多いものです。ただし、サビは良くチェックされた方が良いかも知れません。表面的なサビならまだしも、深く進行したようなサビはサウンドにも影響を与えそうです。ピッツとかピッティングなどと呼ばれるメッキの浮きは、それを許容出来るかどうか、程度の問題なのではないでしょうか?(ビンものでは、よほどのミントコンディションでもない限り、ある程度はやむを得なさそうです)

スイッチやラグが交換されていると、新たな取り付け穴(エクストラホール)が開けられているかも知れません。この場合、昔の穴が空いたまま残っていたり、あるいはパテで埋められている事もあります。

エクストラホールといえば、内蔵トーンコントロールについて触れない訳にはまいりますまい(笑)。 内蔵トーンコントロールは無用の長物とばかりに、一時期各社から一斉にその姿を消したのは面白い現象でした。ロジャースにおいても例外ではなく、後期の製品は最初から付いていないモデルもありました(XP-8など)。問題は最初付いていたものが取り外された場合です。やはりその余韻として、シェルに穴が残ってしまっている可能性があります。どう割り切るかは個人の考え方次第です。(わたくし個人的には内蔵ミュートって結構味があって好きなんですけど…)

さて、上記ではあえてドラムヘッドについて触れませんでしたが、ヘッドやスナッピーはある種消耗品ですので、ドラムコレクターの方がフルオリジナルのままコレクションするなど特殊な事情がない限り、過度にオリジナルにこだわっても仕方が無い気が致します(これはあくまでも筆者の個人的意見です)。特にロジャース・ブランドのそれらを入手し、継続的に交換しながら使い続ける事は絶望的に不可能です。

蛇足ながら、ギターの世界では「使われれずにコレクションされていたモデルは鳴らない」と言われるそうです。これはドラムにもそのままあてはまると考えます。楽器は生き物ですから、ある程度は鳴らし続けてあげなければグッドコンディションをキープするのはむずかしいのではないでしょうか? しかしこれを逆に考えますと、このようにコレクションされていた最初は鳴らない楽器でも、それを自分の手で鳴らし込んでいく(自分の色に染めていく)楽しみというのもアリなのかも知れません。(このような貴重なコレクションは決して否定されるべきものではないと思います)

この他にも、「ドラムを買う時はここに注意せにゃアカンぜよ!」という情報がございましたら、どうぞよろしくご教授下さいませ!


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