ロジャース スーパーテン

Rogers SuperTen(Super 10) 14x6.5 Steel shell snare drum

国内に「Big R logo」(下写真参照)の「スーパーテン」モデルが登場する頃、
従来までのカタログに掲載されていた「パワートーン」モデルは姿を消しました

1968年度米国版カタログで比較しますとお判りの通り、両者はとても似ています
しかし、1968年度のカタログに「スーパーテン」モデルの姿はまだありません…
(スーパーテンは1972〜3年頃に誕生したモデルと思われます)

スーパーテンはスチールですが、パワートーンは極初期を除きブラス・シェルでした
そして、スーパーテンはその名の通り10テンションですが、パワートーンは8でした

これは、1970年代中期(1976年頃)のロジャース スーパーテン スネア ドラムです
シェルは「コールドロールスチール材」を使用しております

この頃のスーパーテンには昔ながらの「Script Badge」と「BIG R logo」が一緒に付いてます
これらのバッジが同時に存在したのは短期間(本国エンスーによると数カ月間)だったようです
これ以後の製品は「Script Badge」が外され「BIG R logo」だけになりました(Dynaも同様)

ちなみにこれより前のモデルには「オーバル・バッジ」と「Script Badge」が付いていました

エクステリアに「BIG R logo」が付くようになり、インテリアのペーパータグは廃止されました
シリアルNo.(S/N)はペーパータグではなく「BIG R logo」の左上に記されるようになりました

余談ですが1987年頃に台湾で製造されたダイナソニックはスチールシェルでした(詳細次項
スチール製のシェルかブラス製のシェルかを簡単に見分けるには、磁石を使う方法がございます
(磁石のくっつくほうがスチールです もちろんスーパーテンにはバッチリついちゃいます! ^^)
ご注意:この方法を試される場合、くれぐれも大事なエクステリアにキズを付けませんように!

この写真でテンションボルト上下に付けられたチューニングロックはロジャース社純正品です
(実は10×2で合計20個ついているのですが、これはちょっとやり過ぎかも知れません…)

商品名「テンションロックナット」の肉厚は十分で、ブラス製のため重量もヘビー級です
質量が増えた分サウンドは落ち着きますが、シェルの持味をスポイルするかも知れません

オリジナルボトムフープは、パワートーンなどの時代のものと比べると形態が全く異なります
パワートーンと同じ形態のフープは、オーバルバッジのスーパーテンまでついていたようです
(少なくとも1972〜3年頃のスーパーテンは旧タイプのボトムフープでした {確認済} )

スネアが製造された年代によってフープ形態が変化していくのは、とても興味深いところです

コアな情報としまして、この頃のロジャースのフープは内径が若干小さめにできておりました
当時のドラムヘッドの中でも、やや大きめなLudwig(ラディック)社のヘッドは入りません

LudwigのWeather Master snare sideヘッドのアルミ外枠を削って入れた経験があります
(REMOが"Weather King"、Ludwigは"Weather Master"...なかなか興味深いネーミングです)

唐突ではございますが、ここでアメリカン・ドラムメーカー各社のフープ事情について一言

ご覧頂きますように、ロジャース社のドラムには伝統的にプレスフープが使われておりました

Gretsch(グレッチ)社は、これまた伝統的にダイキャストフープを使い続けているようです
(近年の台湾製リーズナブルプライスモデルを除く)

Ludwig(ラディック)社は基本的にプレスですがオプションでダイキャスト等も存在します

フープひとつ取り上げても、メーカー各社それぞれの主義・主張(?)が見えて面白いですね

さて、ここから以下は余談ですが・・・

ロジャーススネアにダイキャストフープはミスマッチ、との証言を過去複数回聞きました
このあたりがドラムのマッチングの妙、あるいは相性といったものなのでしょうか?!
(これはあくまでも試された方の証言ですので、サウンドの嗜好も関係すると思われます)

これはスーパーテンに付属していた「ロジャース・オリジナルスナッピー」です

現代の一般的なスナッピーに比べコイルの巻きは荒く、メッキは極小だったようです

もともとは20strand(響線が20本)でしたが、途中で2本脱落してしまいました

そしてさらに・・・

けっして過度のハイテンションで無理に使った訳ではありませんが…

数年後にはこのありさま!

エポキシ系様樹脂で固められていたエンドは、強度不足だったようです
(これ以前の同社製スナッピーには、丈夫なロー着のものもありました)

ところで、スーパーテンのスナッピーコードにはヒモが使用されていました
(ロジャーススネアはモデルにかかわらずコードは紐と決まっていました)

このオリジナルスナッピーのエンドには元々ヒモ用の穴しか空いていません
テープ状のコードがポピュラーになったのはこの時代以後からと記憶します

「ひもは切れやすい」とのイメージから敬遠される向きもあるかと存じます
確かにスナッピーエンドのヒモ穴の加工が悪いと、そこから切れたりします
(そのようなスナッピーは使わないのが一番ですが、穴を再加工すればOK)
スイッチやバットプレートの固定ネジを締め過ぎるとそこから切れる事も…
スナッピーの極度なハイテンションチューニングには不向きかもしれません

しかし、これらに気をつけて使えばヒモにはひもなりの良さがあるのです!
例えば、プラスチック製のテープコードより柔らかく、フィットしやすい点
ヒモにテンションがかかる事で、スナッピーの平行性がおのずと生まれる点
(スイッチプレートに固定する際、ヒモはテープより多少ラフでもOKかも)

…などなどです 一度ヒモをお試しになられてみても面白いかも知れません

これはロジャースオリジナルのスナッピーコードです
ダンマー社製のスナッピーコードに瓜ふたつかも!!

1976-77年度版カタログより5インチサイズのスーパーテン

1977年度国内版カタログより、同じく5インチサイズのスーパーテン並びにその紹介文です

スーパーテンのサウンドを一言でいえばパキーンと「ハデハデ」で「目立つ」サウンドでしょうか?
「ロックミュージシャンのパワフルなドラミングに最もマッチする」とは82年版カタログ紹介文より

なお、この状態でのサウンドはココでお聞き頂けます

最後に、全くの未確認情報ですが当シリーズは500台あまりしか作られなかったそうです…
(この件は確認のしようがございませんので、ウソか真か判断はつきかねます 悪しからず)

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