ロジャース COB ダイナソニック

Rogers Dyna-sonic Chrome Over Brass shell 14x6.5 snare drum

ブラスにクロームメッキされた(COB)、1970年代製のダイナソニック スネアドラムです
ダイナソニックは、誕生以降常にロジャース スネアのフラッグシップモデルであり続けました

(1961年に、はじめてウッドシェルモデルのダイナソニックが誕生したと言われています)

ダイナの"Big R"ロゴはそれまでのオーバルバッジに代わり1976年以降の製品に付きました

これより以前のモデルには、オーバルバッジとROGERSのスクリプトバッジが付いていました
(これはスーパーテンにおいても同様と思われます オーバルバッジについては後述致します)

そして、シェルの中央に走る5本のラインがこの年代のCOBダイナの特徴になっております
1966年頃より以前のブラスダイナソニックのシェルには7本のラインが走っていました

ダイナがClevelandで製造されていた1960年代初期のB&Bラグモデルも7本ラインでした
ついでながら、「Big R logo」の初期のダイナはFullerton工場で製造されていたようです

1982年頃にはロジャースU.S.A.の最終仕様となるダイナソニックモデルが発売されました
COBにはベルブラス胴モデルが追加され、エクステリアはナチュラルブラス仕上げでした
これらのモデルのストレイナーツマミ上面は平坦ではなく、微少な凹凸加工がされました

この後、「ROGERS U.S.A」社は一旦店じまいする事になり、拠点を台湾に移しました...
1987年頃に台湾で製造されたダイナソニックは、スチールシェルを使用し、(年表参照
ラグやトーンコントロールのつけ根の形態、バッジ自体やその位置がやや異なっています
(名器ダイナソニックは、やはりブラス胴でなければその魅力が乏しいと筆者は考えます)

一応、シェルがスチール製かブラス製かを見分ける為に、磁石を使う方法をご紹介します
ブラスシェルに磁石はつきません! お店で不安な時、そっと磁石を近付けてみたりして?!
(注:くれぐれも大切なシェルにキズを付けないよう、慎重に試される事をお勧めします)

ロジャース社の製品は、時代と共に製造場所や形態などが微妙に変化しているのですね!

このスネアドラム最大の特徴であるスネアフレームをスネアサイドから見た所です
スネアフレームに直接ネジ止めするスナッピーは非常に特殊な形状をしております
フレームも特徴的ですが、スナッピーガードの付いたボトムフープも特徴的ですね

初期のダイナはシェルに7本のラインが走っていました
このスネアは後期モデルのため5本のラインを持ちます
7本ラインと異なりシェル内面まで及ぶ凹凸が見えます

この年代のオリジナルスナッピーは構造的に弱い部分があり、壊れ易いようでした
(スーパーテン同様、スナッピーエンドがエポキシ系様樹脂で固定されていました)

スナッピーが壊れスネアフレームを使えないDynasオーナー様もおられるのでは?

そこで・・・

「Puresound」社製の「Custom Snare Wires」(スナッピー)の登場です!
品番PD-14は、14インチ径のダイナソニック専用に作られたスナッピーです
(もちろん現行品です)

ハンドメイドという事もあり、値段が少々高いのがタマにギズかも知れません
興味がおありの方はごひいきのショップに相談されてみては如何でしょうか?

(万一スネアフレームを紛失されてしまった方はこちらをご覧下さいませ!)

ご覧のようにピュアサウンド社には色々なシリーズがあります
(巷では、それぞれのシリーズの評判も大変よろしいようです)

もちろんこのスナッピーはダイナソニックにバッチリです!!
ダイナ用の製品は、現在の所響線が16本の物のみのようです

ダイナソニック専用スナッピーが商品化されているというこの事実…
採算がとれなければ、当然製品として世の中には出てこないわけで…
現在もなおダイナ愛用者は大勢いらっしゃるのではないでしょうか!

スナッピーをスネアフレームに取り付けた所

1961〜74年頃までのフレーム比べ、構造は大変シンプルになっています
特に、両端の高さ調整用ネジが無くなった点が大きな変化と言えそうです
長軸方向に大きく飛び出た突起部分もなくなり、外観はスッキリしました

スナッピーテンション調整ネジ側の拡大写真

ダイナソニック専用のスナッピーは、スネアフレームにネジで固定します
スナッピーワイヤーがフレームと平行になるように慎重に位置決めしましょう

左端のネジはスナッピーワイヤー自体のテンションを調整するためのネジです
このネジのテンションとスナッピーコードのテンションで自在な音作りが!?

反対側のアップ

とてもユニークな構造をしているのがお分かり頂けるかと存じます
このような構造ゆえ、スナッピーコードにはヒモ以外は使えません

もちろん一般市販のスナッピーは全く取り付ける事が出来ません!
(フレームにこだわらなければその限りにあらずですが…詳細後述)

スナッピーエンドは銅製で、とても重量感があります
これがサウンドにも好影響を与えているそうです

そして何とも特徴的な形態をしているのが解ります

スネアフレームはダンマー社製スナッピーコードを使いシェルとスイッチに取り付けます
ダンマー社のコードはロジャースのオリジナルコードに限り無く似ています
(もしかしたらOEMかも? などと密かに思っております)

写真中央部のネジを使いスナッピーワイヤーのテンションを調整します
ロジャース社の説明では、このネジは手で回すように指示がありました

この部分の初期のネジにはマイナス溝が彫られていました(下写真参照)
この指示はネジ回しの使用を厳禁するためではないか、と推察されます

上記写真に見えるボトムフープのスナッピーガードは最終型となります

1968年頃のカタログよりダイナソニック・ネジ部分の抜粋です

このモデルにはオーバルバッジが付いています(写真右脇参照)
そしてボトムフープのスナッピーガード形態にも違いが見えます
(カタログ写真は第2世代のものです)

よ〜くご覧になると、シェルには7本のラインが入っております

シェルがオーバルバッジで、ボトムフープはBig Rタイプというモデルもありました
オーバルバッジからBig Rへの移行期、在庫部品の調整から産まれたのでしょうか?

COBダイナソニックに限ってみても色々なモデルが存在しており、興味深い所です

いよいよセッティング完了・準備オッケー!

特殊なスネアフレームが存在するため、使用するスネアスタンドには要注意です
(スナッピー・オフ時、フレームがスタンド腕と干渉する恐れがありますので)

さらに、老婆心ながらご注意をもう一点!

6半のダイナを入手し、まず直面する問題として保管ケースの問題があります
独特のスナッピーガードが付いたフープを含めた厚みは8インチ程になります
現在、8インチのケースは特殊なため、入手はなかなか難しいかも知れません

そこでロジャース仲間のS様より、ハードケース社のハードケースが使えそうだ
との情報を頂戴しました (S様、情報のご提供誠にありがとうございます!)

さて、私が個人的に気に入っているスナッピーのセッティング・ポイントは…

スナッピーワイヤーのテンション調整ネジを、手で回してきつくなる所まで回す
スナッピーコードのテンションは、スナッピーが暴れ易いようにある程度ゆるめ

…といった感じです

一応、この状態でのサウンドはココでお聞き頂けます(あくまでも一応です)

ところで、実はこの独特なスネアフレームには様々な御意見があるようです

・スネアフレームのお陰で繊細なスナッピー音が得られるから○、というご意見
・特にフルショット時、スナッピーの動きを妨げやすいので×、というご意見
・(ご紹介したように)スナッピーが一般的ではないため、故障時の対応に問題あり
・スネアフレームの付いていないダイナソニックは買う価値がない、と言い切る方

などなど・・・

ですが、ここであえて一言!

ダイナソニックはスネアフレーム搭載のため、他に比べスネアベッド加工が浅いようです
従いまして、フレームなしでスナッピーの食い付きを良くさせるには工夫が必要そうです
一部のショップでは、そのためにわざわざスネアベッドを再加工するサービスがあります
ただし、一旦エッジを加工してしまうとニ度と本来の状態(サウンド)には戻せません!

実際のスネアフレームの効果は是非ご自身の耳でお確かめ頂ければ、と思います
(個人的には、今後ともスネアフレームにこだわり続けたく思っている次第です)

1976-77年度版カタログより5インチサイズのダイナソニックです
やはりスネアフレームを全面に押し出した広告を打っていますね!

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