ロジャース年表(暫定版 随時更新中!)

 ロジャース社の太鼓たちは、取り付けられたラグやバッジの形態、そしてシェル内のペーパータグに記された製造場所とシリアルナンバーなどから、その個体が製造された年代をある程度推測する事が出来ます。(一部例外あり また、"9/72"タグ 以降のモデルには製造場所の記載がありません)
 この年表があなたの大切なロジャースのルーツ探究に役立てば嬉しく思います!


なお、赤字はロジャース社歴の中で重要と思われるキーワードを示します
アンダーライン部分は表に入り切らない大きな画像がリンクされています

(勝手ながらアメリカンメイドではない「R-380,360,340」シリーズ、並びに廉価モデルの「Series II」は割愛致します)

1849年(江戸時代)〜
ロジャース社が創設されました!

創業者ジョセフ・H・ロジャースにより、当初カーフスキンヘッドメーカーとしてロジャース社は創設されました ドラム製造を開始したのは1920〜30年頃の模様

1956年(昭和31年)〜

オハイオ州クリーブランドで製造され、イーグルバッジが付いている時代

それまでのシールドバッジ(ソー・ブランド/デイジー・ブランド/ユニオン・ブランド/スリースター・ブランドの事、詳細は1938年ロジャースカタログ参照)からイーグルバッジに変わったのは1953年以降と思われます



1950年代中期から後期かけて使われた「イーグルバッジ」の例


この頃の初期のシェルは3プライ(メイプル/ポプラかマホガニー/メイプル)だったそうですが、オハイオ州後期からカリフォルニア初期の時代にかけて5プライになります(「1967年」の項参照)

Big Rモデル(後述:「1976年」の項参照)より前のロジャースドラムのシェル内にはペーパータグが貼られており、9/72 タグ(後述:「1972年」の項参照)より前のモデルには「Cleveland, Ohio」などのように製造場所が記されております



オハイオ州クリーブランドのタグ例

1957年(昭和32年)〜

シェル内(インテリア)は黒い塗装、その後フラット(あまりつやのない均質)なグレー塗装に変更されました



フラットなグレー塗装の例

1959年(昭和34年)〜

クロックフェイスと呼ばれるストレイナー、及びブレッド&バター(B&B)ラグの時代

クロックフェイスストレイナーは、1965年以降の新型ストレイナー(スイヴォマチックスローオフ)よりやや華奢な感じで、見た目が文字通り丸い時計のように見える事からそう呼ばれているようです なお、1960〜1964年頃の入門用スネア(クラスメイトバナーなど)には「ユーティリティ・スローオフ」と呼ばれるストレイナーが使われていました



クロックフェイスストレイナー


そして、B&Bラグはあたかもトースターのような形をしておりました

なお、この頃、ロジャース社の画期的なハードウェア、「スイヴォマティック(swiv-o-matic)」システムが登場します このとてもモダーンなハードウェアは、その後多くのトップドラマーに受け入れられました 例えば1960年代、ザ・ビートルズのリンゴ・スター氏は彼のラディックキットにスイヴォマチック・タムホルダーを取り入れ、ザ・ローリングストーンズのチャーリー・ワッツ氏は彼のグレッチキットにスイヴォ・ハードウェアを使っていた逸話は超有名です!

追加情報:レッド・ツェッペリンのボンゾことジョン・ボーナム氏も、1971年製ラディック・キットにスイヴォマチック・タム・マウントを使っていたそうです!(ドラマガ誌2003年/6月号P.47より)

さらに同誌7月号には、同氏がスイヴォマティック・ハイハットスタンドをも使用していた事実が紹介されています 余談ですが、2003年6月にZEPP結成35周年を記念して発売されたDVD中、1970年・ロイアルアルバートホール「モビーディック」ソロ部分で、しばしHH脚部分のアップが写りますが、確かにロジャースの優雅なスワンレッグを見る事が出来ます(DVDやビデオをお持ちの方は是非探してみて下さいね!)

1960年(昭和35年)〜

金属製の "ROGERS" スクリプトバッジが付くようになりました

60年代初期には、それ以後、同社スネアのフラッグシップモデルとなるダイナソニックスネアシリーズが誕生しました ダイナソニックが他のスネアと大きく異なるポイントは、スネア・フレームにあります パラレルアクション機構と同等の機能を有するその詳細は、当方の「ロジャース・スネアのページ」にて是非ご確認下さいませ!

メタルシェルであるCOB(クローム・オーバー・ブラス)ダイナソニックのシェル中央部には7本のラインが入っていました また、ウッドダイナソニックのインテリアは、グレーにコーティングされた他のシリーズとは異なり、クリアニスによるフィニッシュでした 初期モデルはホリデーモデルとシェルを共有していたそうですが、ラグの数が異なります(ホリデー8に対しダイナ10) そして、もちろんホリデーにスネアフレームはつきません

ウッドシェルは、シリアルNo.が7500までのものは3プライ(メイプル/ポプラ/メイプル)+レインフォースメントで、シリアルNo.7500以降は5プライ(1967年の項参照)+レインフォースメントだったようです またシリアルNo.が200までのモデルは内面にペーパータグが貼られていましたが、それ以降のモデルにタグは付かなくなったそうです(この時代の特徴でもある、オーバル型のバッジにシリアルが記載されていたからでしょうか?) クリーブランド時代の初期モデルのインテリアは、フルーツウッド塗装がなされていたとの事

1973年以降、マーチング用途以外のウッドダイナソニックは造られなくなりました(が、晩年XP-10にて復活します・後述:「1982年」の項参照)



金属製スクリプトバッジ、ウッドダイナクリアインテリア及びオーバルバッジの例

1964年(昭和39年)〜

ビーバーテールラグの時代

それまで使われていたプレスタイプのB&Bラグに代わり、新規に造られたキャスト(鋳物)タイプのラグです これまた文字通りビーバーの尻尾のように見える事から、そう呼ばれるようになりました

1965年頃、クリーブランド時代のホリデーモデルの14×20BDはビーバーテールラグを装備し、T-ロッドは蝶型(俗に言う「ボウタイ」)でした その後T-ロッドはモデルチェンジし、トップに小さなRマークが付いたものになります



ビーバーテールラグの例


さらに同じ頃(1965年頃)、従来の丸いクロックフェイスストレイナーから、より細長い形になったスイヴォマチックストレイナーに変更されました



スイヴォマチックストレイナー


この年代のCOBダイナソニックのシェル中央部は7本ラインでしたが、シリアルNo.が14001以降のモデル(恐らく1966年頃)は、より凹凸感のある5本ラインになります

1967年(昭和42年)〜

製造拠点がオハイオ州・デイトンに移転

この時代のラグは、同じビーバーテールの形をしておりますが、後のフラートン時代のラグと比べ少々サイズが異なるとの情報があります(ラグを固定するボルトやワッシャにまで違いがあると指摘する声もあり) さらに、より後期タイプのラグからは内蔵されているスプリングが取り外されました(スプリングはテンションの緩み防止の為に内蔵したと思われますが、ノイズの原因になると嫌われた向きもあるようです)

1968年頃のルクソール(5プライ、6ラグ)スネアやタワー(5プライ、8ラグ)モデルは、ラグの取付け形態やその数から入門用モデルとしての位置付けだったと思われます
(1968年米国版カタログ1011ページ参照)
カタログでご覧頂けます通り、タワーのラグはあたかもスネアドラムのようにシェル中央部に1個しかなく、長いテンションボルトを使ってヘッドを固定する仕様(シングルラグ)でした その他の入門用モデルには、その名もステューデントがありました これらの入門用スネアのストレイナーはスイヴォマティックではなく、「Sta-Tite」ストレイナーと呼ばれるシンプルなタイプが使われています



Sta-Tite ストレイナー


ルクソールやタワースネアのオリジナル・スナッピーは16本でした ちなみにダイナソニックのスナッピーは珍しく19本という奇数本のワイヤーが使用されていました

なお、この年代のロジャースシェルのほとんどはジャスパー社製で(一部のシェルはケラー社{後述}やスリンガーランド社からも供給を受けていたとの事!)、プライは「メイプル/ポプラ/メイプル/ポプラ/メイプル」の5プライだったようです XP-8(後述:「1979年」の項参照)からオールメイプルになりました シェルの供給を受ける以前(オハイオ時代より前)は、ニュージャージー州でマホガニー単板をスチームベンドして、ロジャース自らシェルを造っていたそうです

1969年(昭和44年)〜
オハイオ州・デイトンから、さらにカリフォルニア州・フラートンへ移転

1968〜9年、カリフォルニアへ移転した頃から各部のパーツ重量が軽くなったという情報もあります

1970年(昭和45年)〜

カリフォルニア州・フラートンの時代

フラートン時代のモデルには、インテリアがそれまでのフラットなグレー塗装ではない粒子感(斑模様)のあるグレー塗装をされたモデルがあるようです(一説には1967〜8年頃から粒子感のあるグレー塗装に変わったとの話もあります)



斑模様のグレーペイントの例


粒子感のあるグレー塗装とは、白ゴマと黒ゴマをクラッシュして塗料に混ぜたような感じのグレーです
70年代TAMA社製インペリアルスターモデルには、これと似たようなシェル内コーティングが施されておりました(ロジャースより白っぽい感じでしたが)

ところで1972年頃までのロジャースには、前述のルクソール、タワーの他、ホリデー(レインフォースメント付きメイプル5プライ、8ラグ)、パワートーン(レインフォースメント付きウッド5プライかブラス、8ラグ)など数種類のモデルがありました
そしてこれとは別に、ヘッドライナーロンドナースターライターなどという名称のアウトフィットモデル(セット推奨例のようなもの)もありました
(1968年米国版カタログ、及び国内版ページ参照)

ダイナソニックはスネアに限って使われたモデル名でした
一方、ルクソールという名称はスネアに限らず1940〜60年代のタムにも同名モデルがあったようです

1972年(昭和47年)〜
9/72 タグの時代

タグ内に 9/72 と記載されている、従来より小降りのペーパータグのついたモデルが製造された時代です

この頃から、それまで使われていた各モデル名称の呼び別けはしなくなった模様
(各モデルが本当になくなってしまったのかは不明ですが、少なくとも9/72 タグにはパワートーンとかホリデーといった記載がありません)

9/72 タグは文字通り、1972年9月からこのモデルが製造された事を示しているようです

なお、このタグはBig Rモデルが発表されるまで使われました(1975年6月までとの情報もあり)

GTフェチ様よりお預かりしている 9/72 タグの写真を是非ご参照下さいませ この写真では同時に粒子感のあるグレー塗装もご覧頂けます)

恐らくこの頃(72〜3年頃)からスチールをシェルに使ったスーパーテンスネアが新規に登場します ダイナソニック同様、Big R以前のモデルにはオーバルバッジ(ダイナソニックについては前述:「1960年」の項参照)がついていました

1975年(昭和50年)〜
カリフォルニア州・モンロビアに移転(ケリー・スミス氏のリストによる 一方、「ROGERS BOOK」によると1976年6月に移転、との記載あり)

9/72 タグの時代になってから製造拠点の記載がなくなりましたので、モンロビアと書かれたタグは存在しないのではないかと考えられます

1976年(昭和51年)〜

従来のスクリプト・バッジからBig Rバッジヘ移行する時期です と同時に、メモリロックが発表されました(ちなみに、1980年国内版カタログ1ページ目には「1975年にメモリロックシステムを発表」と書かれています)

ダイナソニック並びにスーパーテンにもBig Rが付きました スーパーテンモデルの形態はそれまでのCOB(ブラス)パワートーンスネアにそっくりですが、シェル材はコールドロール・スチールです そして、パワートーンのラグ数が8個なのに対し、スーパーテンはその名の通りラグは10個です

ちなみに、パワートーンにBig Rモデルは存在しないのではないかと考えておりましたが、もしかすると過渡期に一部存在したかも知れません(未確認ながら情報あり)。
なお、スーパーテンはダイナ同様、スネアに限って使われた名称のようです

初期のBig Rモデルには、それまでの金属製 "ROGERS" スクリプトバッジも同時に付いてた時期がありますが(その期間は1年位?)、後にBig Rだけになりました

また、Big R自体にシリアルナンバーが記載されるようになった事もあり、シェル内のペーパータグは廃止されました

ダイナソニックは、それまでのモデルから大きくモデルチェンジをはたします
特にスネアフレームとボトムフープは一見して形態が変わっていますが、一部、Big R直前のオーバルバッジがついたモデルには、この新しいフレームとフープの付いたモデルも存在します

さて、メモリロックの発表に伴い、従来のスイヴォマチックタムホルダーは影をひそめます(スイヴォのペダルとHHスタンドは継続並売)
時代の要求に応えるかのように、ハードウェアは丈夫に、重くなりました(サプリームシリーズ)

メモリロックは演奏者のタムやスタンド類のポジショニングを記憶させ、素早くセッティングを完了する事の出来る画期的なシステムでした
今現在もなお多くのメーカーがこの機構を採用し続けている事からも、ロジャース社のドラムに対する先進性がうかがえます!

なお、この時代には、シェルにレインフォースメントがあるにもかかわらず、内面(インテリア)はそれまでの粒子感(まだら模様)のあるグレー塗装ではなく、あたかもXP-8(事項参照)のようなクリア塗装のモデルが存在しました そして、このモデルのエクステリアは、当時のカタログには存在しないメイプル・ナチュラルフィニッシュであった事も興味深いポイントの一つです(恐らく、XP-8へ移行する直前のモデルではなかろうか、と筆者は推測しております)



ご存知 Big R ロゴとメモリロックの例

1979年(昭和54年)〜

いよいよXP-8の時代です(Big RとXP-8は同時に発表されたように錯覚される場合がありますが、実はこのように若干のタイムラグがありました)

インテリア塗装はクリアが一般的ですが、それまでのロジャースの内装に合わせたいというリクエストに応えるため、従来の粒子感(まだら模様)のあるグレー塗装も行なわれていたようです

シェルはケラー社*(下段欄外参照)製の8プライオールメイプルシェルを使用していました
従来の5プライからプライ数を増したせいかどうかは分かりませんが、レインフォースメントはなくなりました(それに伴い、従来のベアリングエッジ形態から若干変更されたようです)

1980年のロジャースカタログによりますと、XP-8シリーズはアメリカ・カリフォルニア州・モンロビア工場にて、多くの熟練したスタッフにより製造されていたとの事です!



XP-8フロントヘッドロゴ&レインフォースメントのないクリアインテリアの例

1982年(昭和57年)〜
この頃、今までのCOBダイナソニックにナチュラルブラスフィニッシュモデル(ベルブラス胴)が加わり、さらに10プライメイプルウッドのXP-10・ダイナソニックも登場しました

付け加える事、スーパーテンにも同じく10プライメイプルを使った、同モデル初のウッドシェルバージョンが誕生しました(ダイナとの主な相違は「スネア・フレーム」の有無です)

時代の流れからか、ウッドシェルにおいてはどちらも深さ8インチという超深胴モデルがラインナップされています
(双方ともに深さは5"、6.5"、8"のスリーサイズがありました)

Big Rとシリアル・ナンバーについて:
"Big R" バッジにはシリアル・ナンバー(以下S/N)の刻印がないモデルが一部存在します S/Nの記載に関する情報としましては、まず、Big R移行期(1975年頃)の初期のモデル(これはまだXP-8モデルではありません)には、S/Nの記載のない個体が存在するそうす そして、アメリカン・ロジャースが生産を終了する直前(1980年代中期頃?)のBig Rモデル(これはXP-8です)は、S/Nでの管理がそれ程重要ではなくなったとの理由からS/Nの記載がなくなった、という情報を聞きました

1987年(昭和62年)〜
台湾製Big Rの時代…

「伝説の再生(Rebirth of a Legend)」と称し、台湾でロジャースが造られるようになりました…
台湾製のBig Rロゴは、従来の「ROGERS DRUMS U.S.A.」という記載から「U.S.A.」の部分が無くなり、「ROGERS DRUMS」だけになりました…

残念ながらこの頃のダイナソニックはスチールシェルになりました…
BDの脚部は従来のBig R時代のものから大きく形を変え、パール酷似に見えます…

タムホルダーのメモリロックは健在のようですが、どういう訳か「MEMRILOC」から「Memri-Lok」と表記を変えています…
(パテントの問題なのでしょうか?…)

ペダル・HHなどのハードウェアに至っては、一応Big Rマークこそ付いてはおりますが、スイヴォやサプリームの面影はなくなってしまったように見えます…

その後、さらにBig Rの形態自体もそれまでの正方形に近い物から、長方形へと形を変えているようです…

 
途中略

2003年(平成15年)
現在、古き良きアメリカンロジャース社はすでに存在しませんが、ロジャースの名前自体は今もなお存在しております 「ブルック・メイズ」という米国のお店では、入門用ドラムの位置付けとして「ロジャース・ロゴ」を付けたキットが販売されています 唯一往年のロジャースの面影を残しているのは、残念な事に付属する金属製スクリプトバッジのみのようです…

(当方がリンク許可を頂いているrogersdrums.com・ケリースミス氏のリストを一部参考にさせて頂きました)

*ケラー社とは、当時より多くのアメリカンドラムにシェルを供給しているシェルメーカーです

上記年表は途上(暫定版)である事をご了承下さいませ

また、万一内容に誤りがございましたら誠に申し訳ございません
(内容の誤りから問題が生じましても、当方はその一切の責任を負いません)

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