ビンテージ・ロジャースドラムのカラーフィニッシュの中には、人気色である「ピンク シャンペン パール」があります。同カラーフィニッシュは、1968年頃のロジャースカタログのカラーフィニッシュ・チャートに掲載されています。ちょうどその当時、なぜかチャートにラッカーフィニッシュはなく、カバリングのみだったようです。(それ以前の50年代にはラッカー仕上げもちゃんとありました)
1966年製「ピンク シャンペン パール」フィニッシュのパワートーンスネアしかし、なぜか1973〜4年頃、日米どちらのカタログからもこのカラーはなくなってしまいました・・・
ここで浮上して参りますのが、GTフェチ様が所有されている「9/72」タグの付いた「ピンク シャンペン パール」フィニッシュのロジャースドラムはいつ頃製造されたのか、という疑問です。(「9/72」タグの付いたドラムは、1972年9月から1975年頃まで製造されていたといわれています)
1973〜4年頃に製作されたカタログは、当時の新製品である「9/72」モデルをアピールするために作られたものと思われますが、そこには出ていないカラーフィニッシュのドラムをGTフェチ様はお持ち、という事になってしまいます。はたして・・・
GTフェチ様が所有されている「ピンク シャンペン パール」フィニッシュの「9/72」モデルそこで、ロジャースドラムにとても造詣がお深く、当方が大変お世話になっておりますA.S様に、さっそくその旨をうかがいました。すると、1975年のロジャースカタログには「ピンク シャンペン パール」フィニッシュが復活しているという、とても重要な事実をお教え頂きました。
従いまして、GTフェチ様所有の「ピンク シャンペン パール」フィニッシュのロジャースは、同色が復活した1975年頃に製造されたものではないか、という推測が成り立ちます。ところが、1974年8月10日付けの日本版ロジャース・プライスリストのP.6を見ますと、そこには特別注文色見本として「ピンク シャンペン パール」が登場していたのです。結局、同色は国内において、少なくとも1974年8月10日には復活していた事が判明しました。
たかがカラーフィニッシュ、されどカラーフィニッシュ、本当に興味は尽きません!
ところで、「ピンク・シャンペン・パール」フィニッシュについて、A.S様よりさらに大変興味深いお話を伺う事が出来ましたので、以下にご紹介させて頂きます。
「ピンク シャンペン パール」は、他のスパークル・カラーよりコストがかかるそうで、グレッチは、オプション価格を取っているくらいです。というのは、スパークル・カラーはラメというか金属の細かいかけらを入れなくてはいけませんが、赤とか青のスパークルは、これが単に銀色のものを入れればいいのですが、ピンク・シャンペンだけは銅色の粉が必要だからです。
との事です。
ロジャースの「ピンク シャンペン パール」拡大見本
A.S様より情報を頂き、同色が貴重色である事が判明
良く見ますと、確かに銅色のツブツブが見えますね!ちなみに、グレッチ社は現在においても通常のカバリングフィニッシュより高価な、ラッカーフィニッシュと同等の価格設定を「ピンクシャンペンスパークル」(グレッチ呼称)カバリングに適用しております。(2002年5月現在)
なお、1980年のロジャースカタログからは、残念な事にスパークル系のカラーフィニッシュはすべてなくなってしまいました。しかし、ビンテージドラムが見直されている昨今、ドラム各社が再びスパークルフィニッシュ系のモデルを復活させている事は、ともて面白い現象です。(まさに歴史は繰り返しています!)
「ピンク シャンペン パール」フィニッシュについて詳しく調べるきっかけを作って下さいましたGTフェチ様、並びに大変貴重なお話をご教授頂きましたA.S様には、心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました!