Rogers seven lines COB Dyna-sonic
ROGERS COB Dynasonic 5"x14" Snare Drum
クローム・オーバー・ブラスシェル ダイナソニック
ダイナソニックにはウッドとメタルが存在します
メタルは1961年頃に誕生したと言われています
写真は比較的初期(1964〜5年頃)のモデルです
中央のオーバルバッジは第二世代の物になります
(第二世代のシリアルNo.は3001からだそうです)
"Rogers" スクリプトバッジ
当時のCOBは俗にヘビーブラスシェルと呼ばれ、胴自体重いのが特徴です
この年代のCOBダイナソニックは、シェルに7本線とオ−バルバッジを有します
(後にこのラインは5本になりますが、移行期は恐らく1966年頃と思われます)
オーバルバッジは1975年頃にBig Rと呼ばれるバッジになるまで使われました
(オーバルバッジは第一から第三世代まで3種類が存在すると言われています)
5本線のダイナソニックはシェル内面まで達する深い溝を持っているのに対し、
写真に見える7本線ダイナはブラスシェルの表層部のみで加工が完結しています
そのためミゾの凹凸は浅く、繊細なラインを見る事ができます(内部写真後掲)
この個体は、時期的にB&Bラグからビーバーテールに移行した直後のモデルです
(B&Bラグ:通称ブレッド&バターラグと呼ばれている初期タイプのラグの事)
(ビーバーテール:ビーバーのしっぽのように見える事から付いたラグの愛称)
俗に "クロック・フェイス" と呼ばれるストレイナー・スイッチです
1965年頃から新型のスイヴォマチックスローオフに変更されました
(この個体は後継ストレイナーに移行する直前のモデルとなります)
スナッピーコ−ドを固定する為のプレートはシェル側に付いています
そのため、ヒモの取り外しは後継ストレイナーと比較し少々不便です
ダイナソニックの頭文字 "D" と "Rogers MADE IN U.S.A."
スイッチ本体は円形でクロックフェイスの名前の由来に!
スイッチの下方部には、"PAT. PEND." の記載も見られます
ネジの形態は、以降の物より角張っていて特徴があります
同様にバットプレートには "Rogers U.S.A." を見る事ができます
ボトムフープのスナッピーガードにも特徴があります(詳細後述)
スネアサイドにおけるエッジ形態の様子
シェル内面に7本線のない事が判ります
ラグを固定するボルト内側にスペーサーがかまされているのが見えます
これは肉厚のあるウッドシェルとボルトを共用するために必要な物です
スネアサイドに取り付けられたスネアフレームの様子
さて、ダイナソニック最大特徴のスネアフレームとは一体何でしょうか?
なぜこのような装置が取り付けられているのか、以下をご参照下さいませ
まずはスネアフレ−ムに取り付けられるパ−ツ類です
左から、テンション調整サイドの高さ調整ナットを含むパーツ
中央は、テンション調整用ネジと緩み防止のためのスプリング
右側は、反対側のスナッピー固定用ネジと高さ調整用ネジです
エポキシで接着された19ストランドのダイナ専用スナッピー
センターにテンションがかかる為、あえて19本と思われます
このタイプのスナッピーはエポキシ部より破損しがちでした
(このスナッピーは当初のロー着タイプから交換された模様)
ご覧の通りワイヤーエンドは大変特徴的な形態をしています
スネアフレ−ム端に被せるキャップ状のカバー
これによりスネアフレームとスネアガードの干渉を防ぎます
年代により黄色のチューブ状の物が使われた時期もあります
テンション調整ネジに高さ調整用のナットを取り付け、
それをスネアフレームのミゾに合わせて差し込んだ所
ナットを回して高さ調整後、スナッピーを取り付けます
反対側には、まず高さ調整用のネジをネジ込みます
同様に高さ調整後、スナッピーを取り付けます
取付け穴に高さ調整用ネジの突起を挿入します
組み立て終わったスネアフレームとスナッピーの様子
ところで、なぜこのようなフレームが必要なのでしょうか?
左のテンション調整ネジで、スナッピーワイヤー本体のテンションを調整します
つまり、パラレルアクション機構のスネアと同等の調整効果を得る事が出来ます
1975年頃、スネアフレームはボトムフープと共に大きくモデルチェンジしました
(両端に飛び出た突起と高さ調節機構はなくなり、構造はシンプルになりました)
ダイナソニックにおいてロジャース社は終始フレームにこだわり続けたのでした
(余談:ダイナの生まれ故郷ではクレイドルとかレールなどとも呼ばれています)
パラレルアクション機構とは?
全面あたりのスナッピーが、裏ヘッドと平行に上下する事からそう呼ばれた機構
ワイヤーテンションと、スナッピーを裏ヘッドに当てる力を個別に調整出来ます
そこで・・・
パラレル・アクション機構を持つスネアの代表としてPearl社Jupiterを見る?!
スナッピーテンションサイドの高さ調整の具合を確かめます
同様に反対側の様子
このようにひもを通し、ストレイナー及びバットプレートに固定します
ダイナソニックスネアのボトムフープは、大きく3回形を変えています
この写真のボトムフープスネアガードは、もっとも初期タイプの物です
これは1967年頃新規に採用された単純に一方向へ曲げる物とは異なり、
途中の部分に絶妙なヒネリ加工を加えた3次元的な曲面を持っています
さらに、1975年頃からBig Rモデルに採用された最終型へと変化します
スネアフレームには "2" の刻印が…
スナッピー高さ調整用ネジを裏側から見た所
マイナスドライバーで高さの調整ができます
"PAT. PEND." の刻印も見えます
スネアサイドからの俯瞰拡大図
ロジャース社のカタログには、この構図が結構頻繁に登場します
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